【銀魂】待って、お兄ちゃん。

8.第一印象は大事 ページ9

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薄暗い甲板を、気配を消すこともせずに悠々と歩く。




それにしてもおかしい。



(……誰も、いない)




鬼兵隊ってのはたった二人の見張りだけで夜をやり過ごしているのか。…ーーそうは思えないが。



ーー・・・いや、いる。




「っ！！」



パァン！ 乾いた発砲音とともに私は地を蹴る。

音のした方を見上げると、二丁の拳銃を片手に女がこちらを睨みつけていた。……可愛いじゃん。



「歓迎されてるみたいだ」


「ふざけたこと言ってんじゃないッス」



私の足元を弾丸が貫く。恐らく威嚇射撃だろう。





(私はただ高杉に聞きたいことがあるだけなのに)


「何者(なにもん)スか！ 返答次第では容赦しねえッス！」



甲板から上がる煙の臭いに顔をしかめ、「高杉に話がある」と言う。


ーーー・・・しかしこれは女の癇(かん)に障ったようだ。再び銃口を向けられる。


「てめェ晋助様に何の用ッスか！！」


(ダメだ話にならない)


頭をボリボリとかいて「あー」と声をもらす。このままじゃ埒(らち)が明かない。


ーーーその時だった。



「俺ァ、あんたみたいな美人の知り合いはいねェはずだがな」


おっと、待ってました。


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