第60話 ページ24
「んーっ、やっぱり都会とは違うな！」
おれは、旅館に着いて部屋に入って、真っ先に伸びをした。
畳の匂い。
窓の外に広がる、大自然。
どれも都会では体験できない、地方ならではの独特な雰囲気。
「はぁ…」
窓を開けて、思い切り深呼吸する。
緑いっぱいの美味しい空気、鳥のさえずり、森の木々が葉を揺らす音。
大自然のオーケストラに囲まれて、おれの脳内はインスピレーションが湧いて止まらない。
こんな事なら、Aも連れて来れば良かった。
そういえば、新婚旅行だって行ってないし…。
「ああっ、いけない！おれの大自然のインスピレーションが消える！！」
思いつくままにペンを走らせる。
微調整なんて、帰ってからすればいい。
溢れるインスピレーションを止める事なんて出来ない。
「失礼致します」
部屋の襖を開けて入ってきたのは、この旅館の仲居さん。
「お仕事中恐れ入ります。ご夕食は何時頃にお持ちしましょうか」
おれはペンを持つ手を止めないまま、19時ごろと答えた。
これだけ書き続ければ、きっと19時くらいには空腹になるから。
今、Aも仕事頑張ってるのかな。
なんて、ふと頭をよぎる。
こうして曲を作りながらでも、Aのことを考えてしまう。
我ながらとんでもないスキルを身につけたと思う。
溢れるインスピレーションに、ペンを持つ手が追いつかない。
おれの手は2本じゃ足りない。4本いる。
現実には不可能なことを思いついてしまって深い溜息をついたところで、スマホの着信音が鳴る。
なんだ、この大事な時に電話なんて。
「…なんだよ、唐突に電話なんか」
＊＊＊
ふと目を覚まして、時計を確認する。
朝の8時だ。
くるっと体の向きを変えると、隣で泉が気持ちよさそうに寝息をたてて眠っていた。
私の方に背中を向けているから、寝顔は見えない。
視界に入るのは、銀色の癖っ毛と大きな背中。
「…泉」
そっと銀色の髪に触れてみる。
さらさらで、ふわふわの髪。
まるで猫のような。ロシアンブルー。
泉の髪を撫でて満足したところで、彼を起こさないようにそーっとベッドから抜け出す。
「…なに、もう起きるの」
「あ、ごめん起こしちゃった」
「別にいいけどー…」
ベッドから出た時の物音で、泉が起きた。
いや、起こしてしまった。
「珍しいね、いつもは私より早く起きるのに」
「まあ、仕事で疲れてたのかもね。シャワー浴びてくる」
泉が出て行った事を確認して、スマホを開く。
「…レオ」
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Kotathubuton09(プロフ) - 頑張ってください！ (2019年3月1日 21時) (
レス) id: 6611921f0f (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - まなまなさん» ありがとうございます！面白いと言っていただけて、私のやる気に繋がってます！更新頑張ります！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - 美咲さん» ありがとうございます！！頑張って更新します！！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
まなまな - もう、早く次の話が見たくて仕方ないです！面白いので更新頑張ってください！ (2019年2月14日 0時) (レス) id: a79d567116 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - このお話、自分の好みドンピシャで毎回更新されるたびに楽しみに読ませていただいてます！応援してますね！！ (2019年2月13日 0時) (レス) id: 2f15307bb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スカーレット＊アルテミス | 作成日時：2018年10月20日 19時
