第55話 ページ19
俺のインタビューと撮影もひと段落し、控え室に戻る。そこには既に、Aが用意した飲み物や差し入れが並んでいた。
「…ほんと、よくやるよねぇ」
まぁ、これくらいプロデューサーなら当然なのかも知れないけどさ。
高校を卒業してもなおknightsの面倒を見続けるのも根気いると思うけど。
「瀬名先輩、お疲れ様です」
「はい、お疲れ〜。次はかさくんじゃない？早く行ってきなよ」
俺はかさくんが抱えるポテチの袋を取り上げて、撮影で使う小道具を代わりに渡す。
「あっ」
「あ、じゃないでしょ！前にも言ったけど、太ったらknightsを脱退させるから」
大人になってもかさくんの駄菓子好きは一向に直る気配なし。
好きなものがあるのは良いことだけどさ、限度を考えて欲しいよね。
「そう言う瀬名先輩こそ、先程からsmartphoneの着信音が鳴ってますが…」
「あ、これはいーの。ほら、早く行きなよ」
俺がわざと無視していたスマホの音を、かさくんは突っ込んでいった。
俺だって鬱陶しいし気になるよ。
けど、出たら長いんだよねぇ…あいつ。
「…もしもし？」
《あっ、やっと出てくれた〜》
「何回も言うけど、仕事中に電話かけないで。俺だって暇じゃないんだけど」
延々と続く長いコール音に耐えきれず、仕方なく電話に出る。
聞こえてくるのは、やっぱりあの声で。
《本当に今度の仕事、断れないの？》
「無理。ほんと、あんたもしつこいよねぇ」
Aとの約束がある水曜日。
その日は俺とあいつの結婚記念日…らしい。
俺は覚えてないけど。
仕事があるって言ったら、どうしても休めないのかってうるさいし。
《じゃあ、どこかにご飯食べに行かない？》
「だから無理。また今度でいいでしょ〜？」
なかなか折れようとしないあいつにイライラを隠せずにいると、突然控え室のドアが開いた。
「…あ」
入ってきたのは、仕事で使う資料を大量に抱えたAだった。
《泉くん？》
「…俺、忙しいから切るね」
まだ何か言いたげだったのは分かったけど、俺は気づかないふりをして電話を切った。
「…今の電話、奥さんから？」
最初に口を開いたのは、Aだった。
「まあね。大した話じゃないから大丈夫」
「…そっか」
そう言ってAは、俺が座るソファの隣に腰かけた。
今は誰もいないのを、分かっているから。
「…A」
俺の肩にもたれかかってくるAの頭を、そっと撫でてやった。
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Kotathubuton09(プロフ) - 頑張ってください！ (2019年3月1日 21時) (
レス) id: 6611921f0f (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - まなまなさん» ありがとうございます！面白いと言っていただけて、私のやる気に繋がってます！更新頑張ります！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
スカーレット - 美咲さん» ありがとうございます！！頑張って更新します！！ (2019年2月14日 14時) (レス) id: a99c00a32e (このIDを非表示/違反報告)
まなまな - もう、早く次の話が見たくて仕方ないです！面白いので更新頑張ってください！ (2019年2月14日 0時) (レス) id: a79d567116 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - このお話、自分の好みドンピシャで毎回更新されるたびに楽しみに読ませていただいてます！応援してますね！！ (2019年2月13日 0時) (レス) id: 2f15307bb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スカーレット＊アルテミス | 作成日時：2018年10月20日 19時
