第一印象/gl ページ4
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それは、突然訪れた。
「いらっしゃいませこんばんは〜」
眠い目を擦りながら、いつもの挨拶を口にする。
バイトを初めて1週間、毎日シフトを入れているためかなり疲労が溜まっているのだ。
一緒に入っている先輩は今前だし作業を行っており、レジには私一人。
...正直、土曜のこの時間帯は暇なのだ。
雑誌の手入れも終わらせてしまったし、廃棄も確認済み。タバコの補充も然り。
悲しいくらいやることが無いため、仕方なく未使用レジ袋に紛れる使用済みのいらないところをちぎる(わかる人にはわかる)作業をしていたが、それも先程終わってしまった。
ボケっと立っていると、不意に声をかけられた。
「随分お疲れのようですね。」
「っん?!...あ、いえいえ、そんな程で、も...」
驚いて変な声が出たが、なんとか立て直して対応する、
ことも叶わず。
目の前の人物の様相に思わず顔が青ざめる。
目立つ金髪に真っ赤な瞳。
コートも何から何まで全て黒で揃えた彼はなんだか危ないところのお偉いさんにしか見えなかった。
...え、何故...声をかけたんですか...。
これ、まさかあれ?職務怠慢だって言われて組織で私潰されちゃう感じ?
「...クマができてますよ。」
「ひぃ」
あまりの恐ろしさに全身硬直していると、彼は綺麗な微笑みを湛えながら私の目元に指を寄せ、するりと撫でた。
擽ったさと恐ろしさに、思わず悲鳴じみた声が漏れる。
そんな私が面白かったのかはわからないが、彼は控えめに笑った。
...
「俺の第一印象が恐ろしい、だなんて心外ですね。」
「だ、だってほんとにビックリしたんですよあの時...!」
「はは、まあ、いきなり声掛けたもんな」
「でも、後々グルッペンさんといるのが楽しいって分かったので、良かったです。」
「...そうですか。嬉しい事言ってくれますね中村さんは。」
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優衣 - このお話大好きです!これからも更新頑張って下さい! (2019年7月29日 15時) (レス) id: 0243483252 (このIDを非表示/違反報告)
ちりん(プロフ) - かのんさん» コメントありがとうございます!おお、凄い縁ですね笑^ω^ これからもどうぞよろしくお願い致します。こちらの元の作品もぜひどうぞ。 (2018年12月14日 0時) (レス) id: e28413ab8a (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - このお話好きです!そして、偶然にも私の苗字中村です笑そこが嬉しいところでもありました!更新頑張ってください! (2018年12月13日 23時) (レス) id: 5c739f38cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちりん(南野なつ子) x他1人 | 作成日時:2018年12月13日 21時