本音を一つ ページ16
手元が軽い。
いつの間にかに、飲み干してしまったようだ。
思わずもう一杯、と手を伸ばす。
気持ちが良い。
近くにあったソファに座る。
隣には、相川さんも座っていたが……光との談笑を楽しんでいるようなので良いや。
その間に挟まるかのように、棗が座った。
96「そーだ、今度絵、描いてよぉ。」
『んー、別にいいけど、光には言わないでね？』
聞かれたくなくて、自然と小声になる。
様子を見た限り、聞こえていないようだ。
96「んぇ？なんでぇ？」
私が小声だからか、棗も声を小さくして問う。
『絵だけは、私の自由でいたいから…。この世界なら、私だけだ。光は関係ない。
邪魔されたくないから。』
しまった、話したくなかったことまで言ってしまった。
だから、誰かとお酒を飲むのはいやだったのだ。
そんなブラックな私の気持ちとは裏腹に、棗はクスッ、と微笑んだ。
96「やぁっと話してくれた！Aの本音を一つ、聞けた気がする！」
棗の太陽みたいな笑顔につられ、私も笑みを零す。
ダメだなぁ、私。
棗に照らされてばっかりだ。
さっきとは違う、少し自嘲気味な笑みを浮かべた。
96「まっふくーん！一緒飲もうぜぇ！うぉぉ！」
ま「……って、え！？96ちゃんかなりお酒回ってるじゃん！？って、Aさんも頬赤いですよ！？」
棗に声を掛けられた後、少し不機嫌そうな顔に見えたのは、多分気のせいじゃない。
けど、心配してもらえるっていうのは、やっぱり嬉しいものだ。
96「大丈夫だよぉ〜！今日はオールじゃあ！」
ま「あ、これダメだ…。」
何かを察したらしく、何処か遠くを見つめている。
ふと思い出し、隣で笑っている光に目をやった。
お酒のせいで火照った顔。
潤んだ瞳。
……やっぱり、叶わないなぁ。
私は、所詮月だ。
光がいないと、輝けない。
必死の抵抗で、覆い隠そうとしてみたって、"日食"なんて言って、それすら美しく変えてしまうのだ。
太陽と月じゃ、太陽が勝つに決まってる。
『はぁ。』
もう、考えるのが嫌になってしまって、意識をシャットアウトするように重い瞼を閉じた。
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zigami-izua(プロフ) - 最後にフラグを立てて終わりでとても続きが気になります。作者様がもしよろしければ続きを書いていただけると嬉しいです！作品、とても面白かったです！ (2020年3月25日 14時) (
レス) id: e26948917f (このIDを非表示/違反報告)
桜猫 - コメント失礼します。とても素敵な作品ですねこれからどうなるかドキドキしております。更新頑張って下さい応援します！ (2019年6月29日 19時) (レス) id: 60cef8ad8b (このIDを非表示/違反報告)
meimei *crew* - いつも素敵なお話読ませて貰ってます！！夢主ちゃんの過去、可哀想で辛いですね…。歌い手さんの誰でも良いから夢主ちゃんの事を愛してあげて欲しいです！！ (2019年6月1日 19時) (レス) id: 6f4d80c867 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - 何回目かのコメです。悪役の志麻すんも好き('ω')作者さんも好き('ω') (2019年5月29日 11時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
あめだま(プロフ) - くりぬこさん» 2回目のコメント、ありがとうございます！分けたいところですが、ちょっとこれ以上減るとやばい感じなのでまた今度ですね((更新頑張ります！ (2019年5月26日 11時) (レス) id: 03e80f022b (このIDを非表示/違反報告)
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