ねぇ、愛されヒロインさん。【歌い手】

努力したって報われない ページ14

シェアハウスに帰り、早速買った絵の具を使おうと思ったのだが、そうはいかないようだ。





天「ようし！今から準備だあぁ！」






この一言のせいで。





準備なんて言っても、買ってきたものを出すぐらいだと思っていたのだが、飾り付けやらなんやらもするらしい。

はぁ、めんどくさい。



けれど、ここでやめちゃったら折角ここまでやってきた演技が台無しだ。




天「えーっと、飾りを作る人と、飾る人と、食べ物とか準備する人と、、、くらいかな？」

光「はい！私、飾り作るのやるよっ！」


愛され嬢は、一番面倒くさそうなのに立候補。

そういうのを無自覚でやっちゃうから、好かれるんだろうなぁ。



『私、手伝うよ。』



それに比べて、計算して、どうすればいいか考えて、悩んで。

けど、後には何も残らなくて。

私ってなんなんだろう。



必死に考えたって、少しでも好かれるように努力したって、どうにもなんないのに。


努力すれば報われるだなんて、漫画だけの話だってくらい、とうの昔に気付いたよ。



光「へへ、ありがとーっ！」


そう言ってはにかむ。


そ「俺、手伝おうか？」


その笑顔に、みんなついていくの。

私は一人、置いてけぼり。


待ってほしいなんて、今更思わない。

思っても仕方ない。


光「ん、大丈夫だよ！」

そ「そっか……。Aさんもいるしね。」



そんな、変に期待されたって嬉しくないよ。


その言葉に込められたのは、光への気遣いと自分自身への慰め。



Aさん"も"いる









嗚呼、やっぱり私は主役にはなれないようだ。

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