35 ページ35
洋ちゃんのマンションの合鍵。
貰ったんだから断りもなく、いつ行こうが構わない筈なのに。
“今日、そっち行っていい？”
─── そうやって 必ず事前に連絡を入れるようにしてる。
それは もしかしたら見たくないものを見なくて済むように。
洋ちゃんに逃げ道を作ってあげる為の、
本能的な行動なのかもしれない。
けど。
今日は違う。
意を決して マンションへ向かう。
午後9時過ぎ。
今日は 接待だって言ってたから 帰りは午前様のはず。
鍵を開ける。
玄関に靴は無い。
そぉっと 中に入る。
いつもの、フレグランスの香りの奥に
ほんの少しのタバコの匂い。
何も変わらない室内。
「やっぱ、定番はあそこだよね、」
寝室に入り、ベッド周りを確認する。
ドラマなんかじゃ、よくここに長い髪の毛が落ちてたり、イヤリングの忘れ物があったりする。
「なんにもないじゃん、」
ゲスな行為だけど、ゴミ箱の中も確認してみる。
綺麗さっぱり 何も入ってない。
バスルームに向かうけど、洗面所にはちゃんといつも私が使ってる歯ブラシが並べられていて、
彼がここに誰かを連れ込んだ形跡は見当たらない。
“良かったー。” っていう安堵感と
“疑ってごめんね”っていう 罪悪感。
それにしても 綺麗な部屋。
きちんと整理整頓されていて、掃除も隅々まで行き届いている。
ベッドに寝転がって 天井を見上げた。
このまま 私がここで洋ちゃんの帰りを待ってたら 洋ちゃんは驚くかなぁ？
連絡もしないで 来る事なんてないもんなぁ、
「泊まる用意何にもしてないし、疑惑も無くなった事だし、帰ろっかな。」
起き上がろうとして ふとチェストの引き出しが数センチ開いてる事に気付く。
洋ちゃんらしくない。
念のため──
気になって引き出しを開けた。
そこには 取り引き先相手の名刺の数々。
「…すごいな、」
山積みになってた一角が崩れそうになって
慌てて手でおさえた。
「…あれっ？ これって、、なんでだろ？」
【ジュエリー 輝ーkirari
デザイナー 兼アドバイザー 櫻井翔】
目に留まったのは ついこないだ貰ったばかりの 櫻井さんの名刺。
そういえば、 どこのお店で指輪をオーダーする、とか 洋ちゃんにはひと言も言ってなかった。
もしかしたら洋ちゃん、櫻井さんのお店に 私に内緒で行って 指輪の下調べをしてくれてたのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 983人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和妃(プロフ) - まいぽんさん» まいぽんさん、コメントありがとうございます！どっちも読んでくださってるって！！ 嬉しすぎて火星辺りまで飛んでいきました（笑）最後まで見届けて貰えるように 頑張りますね！ホントにありがとっ^o^ (2017年5月5日 16時) (
レス) id: 485289ceb3 (このIDを非表示/違反報告)
和妃(プロフ) - mai-kさん» フッフッフッ（笑）←不適な笑みです。恐ろしい（笑）いつも コメントありがとうございますっ！指輪の完成まで、私も待ち遠しいんですけどね(^^) (2017年5月5日 16時) (レス) id: 485289ceb3 (このIDを非表示/違反報告)
まいぽん(プロフ) - どちらも読んでますとも！！笑笑 (2017年5月5日 16時) (レス) id: 4506e93419 (このIDを非表示/違反報告)
mai-k - 和妃さん» ついに指輪のデザインが・・・すっごく素敵！！ (2017年5月5日 13時) (レス) id: fb4f723ed1 (このIDを非表示/違反報告)
和妃(プロフ) - mai-kさん» mai-kさん ありがとう！指輪でしょ。……お楽しみに、ですよ（笑） (2017年4月25日 22時) (レス) id: 485289ceb3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和妃
| 作成日時：2017年4月15日 0時
