願い、ひとつ【S.S】PART4

言葉１つに嫉妬する ページ40

「今日はたまたま、、、」


言いかけたら翔君の顔が近付いてきて。

乾いた唇が 軽く触れた。



左手で後頭部を支え、右手で長い髪を梳かすように搔きあげて、現れた肌にゆっくりと唇が行き来する。



「んっ、、、、翔く、、、髪、、、まだ完全に、、乾いてな、、、」




「いいよ、、、今日は、、、」




「あっ、、、、、」



すぐに 漏れてしまう、声。




いつもなら 濡れた髪に対して「ダーメ！」って言って、強引に 乾かすのに。


それ以上、強くは言わなかった。


会いたくて、会いたくて仕方なかった彼が今、こうして目の前にいて。


あたしに 触れてくれている。



1秒でも 長く こうしていたい、、、、、
だから。






翔君の唇が 首筋や 鎖骨。
あたしの弱い部分をどんどん責める。



『我慢できない。
あっちに 行こ、、、』



耳元で そう囁かれて。

ドクン、ドクン、、、、と。

今、以上に 鼓動が速まる。



「う、、、うん、、。」



答えるのと 同時に ふわっと体が持ち上げられて。


とっさに 翔君の首に 腕を回した。




「やっべ。
さすがに１日に 2回はキツイかも(笑)」






そう言いながら 寝室へと向かい、器用にドアを開けると、 ベッドにゆっくりと寝かされる。



「 あのっ、あたし、ソファで寝てたよねっ。
翔君がここまで運んできてくれたんだね、、、ありがと。重たかったでしょ？」


「そーだな。今の方が 軽かったかも(笑)
やっぱ 寝てたら ただの塊。
おっもい(笑)」



「かっ、、塊って、 、、ちょっとひどくない？」



「アハハハ(笑)ごめん、言い過ぎた？
でもさ、なんでだろうね？
いっつも思うんだけどさ、起きてる時と 完全に寝てる時って 体感する重さって 不思議と違うんだよ。」




眉をハの字に下げて 豪快に笑うけど。


翔君の言葉、１つ１つを漏らす事なく聞いてたあたしにとっては、
ぜっんぜん笑えない話！



“いっつも 思うんだけどさ”





“いっつも” 、、、って言ったよ！



“いっつも”？？


それって、やり慣れてるって事を言ってるの？



そりゃあ、あたしなんかより長く生きてて。



色んな面で 経験豊富なんでしょうけどっ！！







どうしても その言葉が気になってしまって。



寝ているあたしの横に 腰を落とした翔君の太もも辺りを、



思いっきり ギューッとつねってやった。

会いたいから、来た→←待ち人来たる

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す