白より黒

白色．31 ページ31

．Aside






私のせいで撮影を中止してしまった。

口から出るのも、ごめんなさいの一言。
「 撮影始めてください 」とも出てこない。



また迷惑かけた。
また私だ。



邪魔、だよなぁ。





前向きだったあの頃が懐かしいぐらい、今は下に下に考えてしまう。









「 撮影は後日でいいですよ？ 」









気を利かしたスタッフさんが、みんなの意見も聞かずにそう提案してくれたらしい。

周りは一瞬驚くも、そうですよって納得。


優しい気持ちが伝わって、ぶわっと涙が溢れそうになる。









『 ありがとう…ございます…、 』






『 それじゃあ、後日に…… 』









にこって笑ったつもりなのに、逆にスタッフさんを怖がらせてしまったのは

まだ気づかなかった。









．









．









楽屋に戻ったのはいいものの、撮影が終わってるであろう時間なのにみんなが戻ってこない。


ソファ、真ん中に置いてある椅子、

座っちゃダメだと言い聞かせ、端っこの椅子にちょこんと座る。



自分で切った腕なのに、傷を見ると気持ち悪くて吐きそうになる。

でも、



リスカをした時の快感は忘れられなくて


" あぁ、生きてるなぁ " って感じる。




どこ行ったって息苦しかった日々。
息してるかどうかもわからない日々。

そんな真っ暗な世界に、白がチョンっと付けられたような



少し、変わった世界観を得た気がする。






そう思えば、またやりたくなる " リスカ "



ハサミじゃだめだ。
カッターがザクっと行きやすい。


無意識にムクっと立ち上がった体。

楽屋中、カッターがあるかどうか細かく探して
たまにイライラしてきたら仕方なくハサミでザクっと。




痛い、

けど、なんか良い。






楽屋から廊下に出て、近くにいたスタッフさんに「 カッターありますか？ 」っと聞いた。


変な目で見られる…なんて気にしない。
早く切りたくて仕方なかったから。



わざわざカッターを取ってきてくれたスタッフさんに感謝しつつ、急いで楽屋に戻る。





それで、切る。






意識が掴めなくなってきて、やばいと感じた時に血を止めた。

これ以上も危険だから、カッターについた血を拭いて、机に置く。



死ねないことだけが、私の弱さだろうな。




血を止めてる時、ふとそんなことを思った。









．

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