白より黒

白色．29 ページ29

．？？？side






「 冬海さん、出番です 」



『 ……はい、…今行きます… 』









フラフラと楽屋から出てくるのは、冬海A。

俺らはアイドルやけど、Aはアイドルの中のアイドル。
俺らの憧れでもあった。




ダンスはうまいし、歌は唯一の高音持ち主。

元々は関東人の親。
それもあって、標準語なAは、関西のノリについてくのが精一杯だと

昔、話してくれたことがある。



神ちゃんみたいな、何でもできるやつとちゃうくて
ダンスでできない部分があれば、

1人、レッスンスタジオに残って独自のやり方で覚えたり



ジャス民に見つかった時なんて、握手だけじゃなく、少しの会話だってする神対応さ。



そんなAを見たからこそ、憧れの存在だった。






神ちゃんがいつしか話してくれた時、あったよな？


" 笑顔とか、守りたいねん " って。

ほんまはあれ、俺も同じ気持ちやったんよ？




キラキラ輝くAの笑顔とか、どんなときにも前向きな考えとか、誰でも受け入れる優しいところとか



メンバー想いなところ、とかな。





これってさ、ほら、好きってことやろ？
やのに神ちゃんは気づかへんもん。


" いやあ、メンバーやからなぁ。 " って丸く収めてさ。



それだけなら、神ちゃんだけ相談されるのはええやん？





それが、Aも来るとなるとね






" なんやろー！この気持ちー！ " なんて騒ぎながら赤くなるA見てて、

ほんま、心痛かった。



ある日突然、" 智くん " なんて呼び出したのは嫉妬したし、嫌やった。


そんな気持ち(好き)も押し潰すように、俺らの日常を壊したのは姫花。




暴力してたん、見てたで？俺。





でもそれでも姫花を責めようともせーへんかったんは、ほんまのお人好しやで。あほ。


そーゆうとこ、好きやけど





俺も実際、殴ってしまった。








要はほら、



…俺の立ち位置を、守りたいがために。









．

白色．30→←白色．28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す