9.香りの誘惑 ページ9
＊
「しげのサッカーしてるところ、見えた？」
『ごめん、死にたいことに目が超悪くて……眼鏡したいんだけど、目がもっと悪くなる気がして付けられないの』
「ほお……そっか。しげは瀬良ちゃんに気づいて……ぐふっ、」
「余計なこと言わんで、流星」
相変わらず私とは会話してくれない。
というか、部活前までぶつかっていた視線も全然合わない。
私のせいで目合わせるのも嫌になっちゃった……？
3人でワイワイ楽しくお喋りしてると、また笛がなる。
それはサッカー部にとって、この時間の終了を意味する笛らしくて。
黒髪くんは、流星くんの肩をトントンってして、"行こ"って言う。
流星くんはそれに気づいて、"行かなあかんわ。見てくれてありがとな〜"って超絶スマイルで去っていく。
なぜか残ってる黒髪くん。
なぜ行かないのかと戸惑う私。
話しかけたら怖がられるかも、と思って話しかけられないし、かと言って向こうから話してくれる感じでもない。
謎の沈黙が流れる中、黒髪くんは私の方を向いた。
「せ、っ、せせ、っ」
『せ？』
「……っ！！」
何を言うのかと待っていたら、黒髪くんは何も言わず走り出して行く。
ちらりと見えた手は、信じられないぐらい震えてて。
話すってだけでも、怖いんだなって実感させられた。
黒髪くんは私が黒髪くん推しで、迷惑じゃないのかな。
今更だけどそんなことを思った。
『……でもあの匂いには勝てない……』
さっきも立ち去る時に香ったストロベリー。
推しをやめるとか、この香り嗅いで言えますか？言えませんね、絶対。
でも、
『黒髪くんが迷惑してるなら、やめた方が……』
はあ、って悩む。
でもストロベリーの香りは鼻から離れなくて。
毎秒想ってるあの香り。
ずっと一緒にいたいためには、これしか方法はない……推しとファンの関係！
やっぱり崩せない。他に方法がない。
流星くんの言う通り、これは黒髪くんの女子苦手を克服するためにもいい機会……って思っとく？
そう肯定してしまうのは、悪いことなのだろうか。
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ぽてとふらい。(プロフ) - ちぃのすけさん» コメントありがとうございます！1番…！その言葉だけでもう本当に嬉しいです…！これからも沢山お話を届けられるよう、めっちゃ頑張ります！次回作もよろしくお願いします！ (2019年8月26日 22時) (
レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» ありがとうー！なんかこれ書く前にこんな感じの実際にあって…笑 書きたくなって書いちゃった。凜憧も大変な時期に入るだろうけど、無理しないでね。慌てなくても大丈夫だから。私も二学期から本気出すぞーっ！笑 (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃのすけ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!自分が今まで見たお話の中で一番大好きなお話でした。最後の重岡くんにめちゃめちゃキュンキュンしつつ、にやけを隠すのに必死でした(笑) こんなめちゃめちゃ素敵なお話に出会えて本当に良かったです。次回の新作楽しみにしてます！ (2019年8月26日 19時) (レス) id: d270165aa7 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 完結おめでとう！いつも以上に最後の言葉がグッときて、今、前向きになろうって少しずつ状況を変えてるときだったから余計に響いて、なんかもう泣きそうになった。毎回のようにぽてには元気をもらってるし、勇気をもらってる。すごいなって改めて思った。更新お疲れ様！ (2019年8月26日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - しげつぐ。さん» そう？なんか、伝えたいことたくさんでごちゃごちゃになってしまったけど…ちゃんと私の言葉、届いてたのならよかった。うん！新作もまた頑張るね！ (2019年8月26日 1時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてとふらい。
| 作成日時：2019年8月7日 10時
