ストロベリーの香りが重岡くんだと知ったら、推しになった。

8.サッカー部 ページ8

＊





流星くんと黒髪くんは部室へ。

私は、女子が群がるグラウンドの端にいた。



流星くん曰く、"ここが見えやすいねん！"らしい。

ごめん流星くん、女子が半端なく多すぎて見えないよ。





そんなこんなしてると、周りの女子が叫び始めた。

気になって前を見ると、サッカー部員がグラウンドに出てきたらしい。


私は必死に2人を探そうと頑張るも、前へ前へ行こうとする女子たちに押されて流される。

辿り着いた先は、流星くんのオススメの位置より結構離れたところだった。






『絶対向こうから見えない場所にいる……』







流星くんが張り切って、"絶対見つける！"とか言ってたけど、グラウンドからここは見えにくいところ。

きっと、見つけられないだろうな。




ぼーっとサッカーを見ながら、推し様を必死に探す。

こういう時に限って目が悪いのに嫌気がさすけど、授業中以外は、極力眼鏡を外しときたい……。


理由なんて簡単。

眼鏡付けっぱより、なるべく外してた方が少しでも視力上がるんじゃないか！って思って。



何年も続けてるけど、一向に進歩なし。

なんなら目が悪くなる一方だと思う。






推し様も流星くんも見れないし、もういいかなって帰ろうとした時、ちょうど試合終了を知らせる笛がなる。

折角来てくれた女子へのサービスのつもりか、サッカー部という名のイケメン揃いがこっちにやってきた。




そこに推し様……ああ、いる！神！死んでもいい！







「っ、！」






じっと流星くんにくっつく推し様を見ていたら、バッチリ目が合う。

逸らすかな？っと思ったら、少し驚いた顔して、流星くんの肩を叩く。



推し様は私のことをありがたいことに指を指し、"いるよ"って言ってくれてるかのよう。


まさか……自分から行けない代わりに、流星くんを使って会おうとしてくれてる？

そう考えただけで昇天しそうで、目がクラってする。







「あ、瀬良ちゃん！」


「……」


『死んだ……なんなら死んでもいい……ありがとう、神様。推し様に出会わせてくれて……！』


「どうしたん？瀬良ちゃん」


「……多分、俺に会ったからだと思う」


「ああ、なるほどね」







ふわりと香るストロベリー。

こんな幸せなこと、無い。

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