31.勇気 ページ31
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「幼なじみなめへんほうがええで。何年一緒におると思ってんねん」
『ちょっ、痛、』
「何かある度にその目よな。手伝いたい、けど自分じゃ……って。たまには自分から行動せなあかんで?」
『わかってるし』
「わかってへん。わかってたらもう行動に表せてるやろ?」
『うるさい!』
デコピン食らったと思えば説教だし、なんなの。
ギロって睨むと、"昔からほんまにお前は変わらん"って髪の毛をぐしゃぐしゃーっとされる。
"なにすんの!"ってその手をはじけば、"ばーか"って教室のドアの方を見た。
「ほら、実行委員戻ってきたで」
立ち上がった小瀧は、私の腕を掴んで無理やり立たせる。
そのまま背中をぽんって押されて、"手伝いたいって言え"っと腕を組んで命令。
これで執事の格好とかありえないでしょ。
最悪な王様かなにかの間違いじゃないですか?
"わかったよ"ってため息つきながら、わたわたする実行委員の元へ駆け寄り、
"私もなにか手伝いたいんだけど、いいかな?"って1歩下がって聞いてみる。
すると実行委員は、ぱあっと顔を明るくさせて、"じゃあ、瀬良さんのセンスでええから教室の飾り付けとか全部任せてええかな?"ってまさかの大役。
『ぜっ、全部?』
「そう!教室より調理組とか、他が大変で……教室で付きっきりは無理やねん!やから、瀬良さんのセンスでええよ!教室のこと任せてもええかな……?」
ふたつびっくり。
ひとつは、瀬良さんって名前を覚えてくれてたこと。
あまりの存在の薄さに、誰も私なんか知らないんじゃないかって思ってたから、少しびっくり。
残りはやっぱり、そんな凄いこと、私に出来るんだろうかという不安の方が大きい。
私なんてセンスの欠片もないのに、教室の飾り付けや配置、全て任せられて大丈夫だろうか。
みんなは、それで満足してくれるのだろうか。
「よかったな、瀬良」
『へっ……?』
俯いた私の頭に手を乗せたのは、小瀧。
見上げると、ニコって笑って嬉しそうで。
"瀬良らしくやればええんちゃうの?"って私の心の声を見通してるよう。
『大丈夫、かな』
「大丈夫やって。幼なじみ兼腐れ縁の俺が保証したる」
そう自信満々に言った小瀧を、少しは信じてみようかなって。
"実行委員の代わりに私がここ担当します!"
大きな声が響いた教室は、"よろしくね!"っとみんなの声で溢れかえった。
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ぽてとふらい。(プロフ) - ちぃのすけさん» コメントありがとうございます!1番…!その言葉だけでもう本当に嬉しいです…!これからも沢山お話を届けられるよう、めっちゃ頑張ります!次回作もよろしくお願いします! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» ありがとうー!なんかこれ書く前にこんな感じの実際にあって…笑 書きたくなって書いちゃった。凜憧も大変な時期に入るだろうけど、無理しないでね。慌てなくても大丈夫だから。私も二学期から本気出すぞーっ!笑 (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃのすけ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!自分が今まで見たお話の中で一番大好きなお話でした。最後の重岡くんにめちゃめちゃキュンキュンしつつ、にやけを隠すのに必死でした(笑) こんなめちゃめちゃ素敵なお話に出会えて本当に良かったです。次回の新作楽しみにしてます! (2019年8月26日 19時) (レス) id: d270165aa7 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 完結おめでとう!いつも以上に最後の言葉がグッときて、今、前向きになろうって少しずつ状況を変えてるときだったから余計に響いて、なんかもう泣きそうになった。毎回のようにぽてには元気をもらってるし、勇気をもらってる。すごいなって改めて思った。更新お疲れ様! (2019年8月26日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - しげつぐ。さん» そう?なんか、伝えたいことたくさんでごちゃごちゃになってしまったけど…ちゃんと私の言葉、届いてたのならよかった。うん!新作もまた頑張るね! (2019年8月26日 1時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてとふらい。 | 作成日時:2019年8月7日 10時