ストロベリーの香りが重岡くんだと知ったら、推しになった。

20.落ち込む小瀧 ページ20

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結局黒髪くんとは話せなかったけど、"朝はごめんね"って、教室の端から端の距離だったけど言えて。

黒髪くんは、流星くんを通して"もう気にしてへんから"らしい。



それが嬉しくって。

嫌われてなかったんだ、ってルンルンで1組戻ると、ずどぉんっと落ち込んでる小瀧が席に座っていた。






『どっ、どうしたの？』






さすがにそんな雰囲気は無視できないから、声をかける。

他の人は"え、まじか、話しかけるのか"って驚いてるけど、私はお構いなく近寄る。


だって幼なじみだし、腐れ縁だし。

そんな遠慮する仲でもないし、落ち込むなんてお互い良くある事だから。







「……落ち込んでる」


『見れば分かる。理由は？』


「……言えへん」


『何でよ』






これまで、どんな相談も受けたし、した仲。

その小瀧が、言えないほど落ち込んでる？







『言えば少しは軽くなるよ？』


「いい、どうせ瀬良は理解できひんって言うから」


『言ってみなきゃわかんないじゃん』


「言わんくてもわかる。何年一緒におると思ってんねん」







幼なじみなめんなよ、って前を向いて私を睨む。

ああ、そうだったね、小瀧と何年一緒にいて、何年間腐れ縁だったんだろ。



でもね小瀧、私だって何年間も小瀧の隣にいたんだから、心配かけないようにって自分に負担かけること知ってるんだよ。







『小瀧に体調不良で休まれるのやだなあ……、毎日朝は一緒にいたいし、こうやって学校では話したいよ？それでもだめ？』






昔から小瀧は、私からのお願いに弱い。

弱すぎて、小瀧も自覚し始めて"それやめてくれへん？"って禁止令出されたほど。


禁止令って言っても、"この手段を使ったら100円募金な"って貯金箱差し出されるぐらいだけど。

それでも結構苦痛だったこと覚えてる。

中学生の時の話だし。



あ、でも貯めた100円は2人で好きなものパーっと買いまくったけどね。







「……瀬良たちとお昼に、間に合わへんかった」


『それだけ？』


「俺にとって最大のショック」


『なんで私たちとお昼一緒じゃなかったぐらいで落ち込んでるの。意味わからない』


「ほら、理解されへんかった」


『あ、ほんとだ……』


「ほんとだ、やあらへんわ！」

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