条件付き結婚しませんか？

37.もっと好きになってから ページ37

＊




神山さんに本物のプロポーズをされてから、もう1ヶ月は経ってしまった。


まだあの時の返事ができてないまま、保留のまま、前と変わらず神山さんと暮らしている。

藤井さんは"もうAさんのこと諦めたいねん"と神山さんの家から出ていってしまった。



もちろん、マネージャーは降りていないけれど。






「なあ？そろそろ俺も触れられへん、とか、生き地獄やねんけど……」


『そっ、そういうのは恥ずかしいので……』


「こうしても慣れたやろ？」


『それは慣れの問題です！』






ぎゅ、っと後ろから抱きしめられるも、前より照れることはなくなった。

それは、まぁ、毎日こんなことされてたら慣れるわけでして。


でも未だ、耳元で話されるのは恥ずかしくてドキドキして……なんて、口が裂けても神山さんに言えない。



一応、あのプロポーズからキスは遠慮。

そういうのは正式に付き合ってから、と言ったけれど、神山さんにとっては生き地獄らしく、毎日こんな感じだ。






「ん〜、照れてるAは格別に可愛ええんよな。いつもかわええけど」


『……』


「照れた？」


『んなわけ、調子乗るなチビ』


「いや、いきなり口悪すぎん？」





ほんの照れ隠しに口が悪くなる。

きっと、神山さんはもうわかって理解してくれてるんだろうけど、不安になる。


……もう少し、素直になった方がいいだろうか。






「心配いらんで、そのままのAが1番大好きやから」


『へ？』






後ろから抱きしめてるのを利用して、肩に顔を埋めた神山さんは、ぼそりとそんなことを言う。

聞こえたけど、もう1回。


少しばかりの、意地悪。






「っ、あほ、言わんわ」


『何で神山さんが照れるんですか』


「ええやろ、別に……」


『可愛い、』


「かっこいいの間違いやろ！！」






ほら、また。

どきどきって、胸が高鳴る。

この瞬間が続けって、願ってる。

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