生徒会長の神山くんを、こっそり観察したいJKの話。

33.天使 ページ33

＊





神山くんは、無限大らしい。






「人気投票1位を目指して、頑張るで！！」







今日は待ちに待った文化祭当日。

神山くんのその一言でクラスはひとつにまとまり
"おー！！"と声を揃えて拳を突き上げた。



男装する私の隣に女装している小瀧くん。

"お互い頑張ろな"
そう言った小瀧くんに、小さく笑顔で頷きながら
クラスの人と仲良さそうに話す神山くんを見つめた。






結局あの後
神山くんのお願いを断れるはずもなく
いい加減に悟りを開いて男装姿を逃げず晒し続けた。



励ましか本音か
"俺より男やわ"という神山くんの言葉に多少の傷を負いながら

"ありがとう"と素直に受け取ったのは、まぁ……うん。







「瀬良」


『あ、え、……どうしたの、神山くん』


「……いや、特に用はないねんけど」


『……？うん』







さっきまでクラスの人と話していたはずの神山くんが目の前にいて
なぜか首に手を当てながら、俯いている。


どうしたんだろう。
……もしかして、私の男装姿、改めてみたら
気持ち悪かったとか？





あ、それともメイクがダメなのかな。
それが違うならウィッグ？前髪の流し方？

……まさか、存在自体だめ！？







「……午後ってさ、」


『……午後？』


「誰かと、回る予定ある？」


『誰かとまわる……な、なにを……？』


「何って、文化祭……」


『あ、ああ！文化祭！回る予定全くないです！はい！！』







あれこれ考えていた頭で咄嗟の質問に
気持ち悪く答えてしまう。


存在が気持ち悪いんじゃなくて、挙動が気持ち悪いって……。





そんなことを思いながらちらりと神山くんを見ると
"よかった"と強ばった顔が柔らかくなって

"瀬良がよかったらやけど、"と続けた。







「一緒に回らへん？」








天使なのか、女神なのか
飛び切りスマイルで私を誘う神山くんは、罪かもしれない。



そんな笑顔で誘われたら、断れる人なんて……








『わ、私でよければ……！！
ていうか私なんかで本当にいいのでしょうか、
神山くんと回りたい可愛い可愛い女の子は五万といるのに……』


「瀬良がええねん」


『わ、わわ、イケメンなお言葉……！私には勿体無い……！』


「い、イケメン？俺が？」


『ああああ、ごめんなさい天使でしたね！』


「いや天使でもない……」







これは本当に現実なのか

神山くんに、一緒に回ろうと誘われてしまったよ
観察系JKが！！

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