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「ちがう……ちがうちかう!ちがうの……」
「今までのことも、全部嘘なのか……?こいつに悪口言われてるとか脅されてるとか……全部嘘だったのかよ!」
「ん……なんだよ千切……えっ?」
「るせぇな……」
千切くんの悲痛な叫び声に、眠っていた潔くんと馬狼くんが目を覚ます。
潔くんは寝起き一番に視界に入ってきた修羅場に何事かとオロオロしていたが、馬狼くんはスっと起きてスっと部屋を出ていった。
凪くんは寝たままだ。でも枕を耳に押し付けてるから、多分起きてはいたんだと思う……
そんなことよりも、
今目の前で繰り広げられている昼ドラのような修羅場に、一番困惑しているのは私だ。
確かにこんな展開を待ち望んでいた気もする。ヒナを打ち負かす瞬間を。
でもそれは、もっと計画とかを練り立てたあとの話で……
こんないきなり来るとは聞いてない……!
「嘘じゃないの豹馬!私はほんとにっ、Aに酷いこと言われて……っ」
何かを思い出したように、ハッとするヒナ。
「ほらっ、前にも言ったでしょ!?お母さんが出ていったの、私のせいにされたって……!」
してやったり。とでも言いたげに歪んだ笑顔を浮かべていた。
そういえばヒナは、千切くん達にどこまで話したんだろうか
あのクズ女のことを知ってるならば、もしかしたら私のことも……
はぁ、と呼吸が浅くなるのを感じた。
昔のことがバレたら、どうなるかなんて火を見るより明らかだ。
きっと皆幻滅して、私の事なんか……
「あぁ、聞いたよ。でもあの時は俺も感情的だったし中立な立場じゃなかった。事情もよく知らないのに、一方的にコイツのことを責め立てた……」
ほんとにごめん。と千切くんから届いた気持ちの籠った謝罪は、今の私の耳には届かなかった。
正確に言えば、聞こえてはいるものの言葉を認識できないような、右から左へと流れていく感じで。
不安が脳内を占めた時にはもう、皆から軽蔑されることしか考えられなくなっていた。
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moyu(プロフ) - それとこの小説最後まで読ませていただきました🙇とても面白かったです。素敵な小説をありがとうございます🙇✨ (9月6日 7時) (レス) id: d9453b28eb (このIDを非表示/違反報告)
moyu(プロフ) - プリ小説というアプリで、この小説と同じタイトルと内容で作られた日時がこちらの小説よりも遅いものが投稿されていて、パクリなのではないでしょうかと思いコメントさせていただきました🙇余計でしたらすみません💦 (9月6日 7時) (レス) id: d9453b28eb (このIDを非表示/違反報告)
楽夜 - 絵心…いいこと言うやん!タマニハ。。。 (5月22日 20時) (レス) @page45 id: e32b518303 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 絵心さん・・・・めちゃめちゃいいこと言うじゃないですか! 泣いちゃいますよ (2023年3月3日 15時) (レス) @page44 id: fc65f8a88c (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 私の妹がヒナって名前で草 (2023年2月27日 9時) (レス) id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2023年1月1日 19時