53episode ページ4
’
『もしもし……あの、ブルドッグに似た女の子さんでお間違えないでしょうか……?』
運命を覆す1本の電話が誰にでもあるとしたら、それは間違いなくこの電話だったと思う。
昨日クラブでお楽しみだった俺は、家に帰ったあと二日酔いの頭痛で無事死亡して
朝、竜胆の「兄ちゃんケータイ鳴ってるー!」に叩き起されて、仕方なく重たい身体を動かした
たく、誰だよこんな時間に……まぁもう10時だけど。
きっと九井か鶴蝶かヤク中あたりだろうな……
どれを引いても大凶だ。
「……ん?」
そう思ったが、画面に表示されている電話番号は
見知らぬ番号で。
仕事柄、1度交換した電話番号は絶対覚えてるし、登録してないやつからの電話なんてほとんどなかった。
その事を踏まえた上で変な緊張感を覚えた俺は、指先が強ばるのを感じながら応答ボタンをタップする
すると、物優しげそうな男性の声が耳を伝った
『もしもし……あの、ブルドッグに似た女の子さんでお間違えないでしょうか……?』
「……は……?つか、誰だよあんた」
『あ、失礼しました!私は六本木の○○マンションの906に住んでいる者なのですが…』
そこは、以前俺らが住んでいた場所だった。
高校卒業を機に出ていったあの家
『実は昨日、その…脱どーてーの灰谷君へ
と書かれている手紙がポストに届きまして、』
「あ?差出人は?」
『えっと、ブルドッグと同じくらい可愛い隣の席の女の子……って書いてあるんですけど』
「は……?」
『差出人、貴方ですよね?申し訳ないんですが、灰谷さんはもうこの家には住んでないんで、直接お渡しになった方が……』
「…………あ、え?」
ちょ、待て。なんだって?
「俺が灰谷だけど……」
『えっ!?おっかしいなぁ……じゃあなんでだこれ』
「何がだよ」
『あ、えっと、これ多分灰谷さん宛の手紙なんですけど、"ここに電話して下さい"ってとこに書かれてる番号が、この電話番号だったんですよ』
「は?」
『つまり、灰谷さん宛の手紙なのに灰谷さんの番号が書かれてるんです……あ、タイムカプセルか何かですか?』
「……なんだよ、それ」
話を理解し終えた時、つい、笑みが零れた
「…馬鹿、大事な時に番号間違えてんじゃねぇよ……」
1804人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華-Ruka-(プロフ) - この小説見つけてぶっ通しで見ちゃいましたっ。めっちゃいい話でした😭😭😭めっちゃ好きですッ♡ (1月19日 1時) (レス) @page17 id: 93316f8902 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - もうなんだろう…泣くよねうん…最高の作品をありがとうございます😭 (12月7日 19時) (レス) @page17 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
華恋(プロフ) - この作品に出会わせてくれたオススメ欄。ありがとうございます。作者様大好きです。お付き合いを前提に結こn() (8月14日 10時) (レス) @page18 id: 92a816f288 (このIDを非表示/違反報告)
りとぽん(プロフ) - 泣いたぁ好きっ (5月28日 11時) (レス) @page16 id: 8b386ed075 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - こんなに深い話だと思ってなかった、、、!!この作品に出会えて良かったです。言葉では言い表せないくらいに最高でした!!! (2023年2月8日 19時) (レス) @page17 id: dabadaeb3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ツナ | 作成日時:2022年1月15日 0時