第四十六話 ページ48
前は明るい時に来たため、夜に本部へ集まるのは少し違和感があった。辺りが暗いからか不安に感じる。
「まさか、てめェも鬼を連れてるとはなァ」
不死川さんに睨まれ、びくりと肩を揺らした私の手をむいくんが取る。大丈夫、そう言っているようだった。
お館様が出て来たのを確認し、私は他の柱より前に出て地面に膝をつく。
「夜に呼び出してすまなかった。話は聞いていると思うけど…Aが鬼になった」
緊張して頭が上がらない。バクバクと心臓が鳴っている。
「無一郎によると、彼女は約2週間人を喰べておらず、保護されてからは襲ってもいないらしい。しかも、今の所自我と正気を保てている。
禰豆子の事もあった。私としては、Aが人を襲わない限り、頸を刎ねるのを見送って良いと思っているけど、どうかな?」
他の柱は迷っている様子だった。普通なら許せる事ではないが、禰豆子ちゃんの存在が大きいのだろう。
「お館様…俺はやはり納得がいきません」
最初に声を上げたのは、不死川さんだった。
「鬼になってまだ日が浅い。しかもたった2週間喰べていないくらいで判断するのは…信用出来ない」
伊黒さんもそれに続く。
「なら、また禰豆子と同じ方法で判断するかい?」
え?と思い、お館様を見つめる。禰豆子ちゃんと同じ方法って…
「お館様…!」
「無一郎はAが人を襲わないと証明したいんだろう?」
「っ、それは…」
むいくんは堪えるようにグッと言葉を呑み込む。
「私も、Aが人を襲わないと信じたいからね」
『…ぉ、やかた…さま…』
その時、おい、と声をかけられ横を向く。
瞬間、私の顔に何かが飛び散った。顔に手を当てると、ぬるりとした感触が手に伝わる。
血だ。
そう認識すると、目眩がした。抗えない欲望が、私の頭を支配する。
──────喰べたい。
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uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時