検索窓
今日:15 hit、昨日:6 hit、合計:160,726 hit

第四十五話 ページ47

鬼の体は不思議だ。何も食べていないのにお腹が空かない。多分、人間の血肉しか受け付けないからだと思う。

でも…どうなんだろう。禰豆子ちゃんは普通の鬼とは違い、人間を喰べるという行為の代わりに、睡眠によって活動出来る。

そう、眠れるのだ。

私も眠れていた。今の所、人間を喰べたいとも思わない。これが何を指すのか…まだ分からないけど。


「A…ってまたそんなとこに」

部屋の1番奥の隅で、布団を頭から被って座っている私。それを見てむいくんが目を細める。少しだけ開けた障子を直ぐに閉めて、私の側まで来た。

「日差しが弱点なのは知ってるけど…そんなに嫌?」

『から、だ…が、はん、のーして』

「部屋の中だから大丈夫だよ」

むいくんは私の頭から布団を取る。

「ぼっさぼさ」

『…むぅ…』

私の髪を見て呟いたむいくんを睨む。

仕方無いじゃん、天パだからフワフワしてるんだもん。静電気でボサボサになりやすいの…!

拗ねて唇を突き出していると、ごめんと言いながら髪の毛を整えてくれる。それが気持ち良くて、されるがままになる。むいくんの優しさにきゅんとしてしまう。

「…ねぇ、A…」

『う、ん?』

「…やっぱりいい。それより、明日の夜に本部へ行く。Aも一緒に」

どきり、と心臓が鳴った。

『ほ…かの、は、はし、ら…は?』

「…来るよ。既にお館様には報告しているから、知ってると思うよ。Aが鬼になった事」

…どうしよう。

私の事はどうでもいい。でも、私のせいでむいくんが罰を受けたら…

「心配しなくていいから」

むいくんが私をギュッと抱きしめる。

「Aには何もさせない。僕も大丈夫」


不安が消えた訳ではないけど。この温もりに包まれると安心して、大丈夫だと思えるのだ。

第四十六話→←第四十四話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (109 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
167人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。