第四十話 ページ42
「さ、流石です。本当にありがとうございます」
ボロボロの体で揃って頭を下げる隊員を一瞥した後、刀をしまう。思ったよりはやく片付いた。戻る前にこの辺りを捜索しようか。
「あの、そういえば妙な事を聞いたのですが…」
隊員の1人が唐突に声を上げた。
「……妙な事…?」
「はい…。先程のとは別に倒した鬼がいて、其奴が言っていた事なんですが…」
''此処にはまだ鬼がいる。稀血で、人を喰べておらず正気を失っているせいか鬼とも戦う。まるで人間みたいな鬼だ''
「……稀…血…?」
ガサッ
「「「…!!」」」
物音がして、一気に警戒を強める。草むらに視線を固定したまま、刀に手を置く。
ガサガサと音が大きくなり黒い影が見えた。ふらふらと覚束ない足取りで姿を現す。
「……っ…!」
その姿を目に止めて、息を呑んだ。
…そこにいたのは、紛れもなくAだった。
「A…!」
しかし、呼びかけても反応がない。着物の所々が赤黒くなっている。怪我をしているのか。
「A、怪我をしているなら動かないで…」
ピクリと反応し、焦点の定まらない目で僕を見つめたA。
そして、口元にゆっくりと弧を描いた。
瞬間、自分に向けられた殺気。数メートル離れた場所にいた筈なのに、彼女はいつの間にか目の前にいた。振りかぶった腕を寸での所で受け止める。
『…ぅ…あ…』
荒い息を吐きながら目を爛々とさせるA。
信じたくなかった。
だけど、その姿は…鬼そのものだった。
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uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時