第二十六話 ページ28
ー無一郎視点ー
屋敷の中を見渡すが、Aの姿を見つける事は出来なかった。おそらく蝶屋敷にでも行ったのだろう。…一言も僕に声を掛けずに…。
「……チッ…」
何故か無性に苛々する。最近の彼女は、分かりやすい程僕を避けていた。
彼女が来るまでは…こんな気持ちになる事はなかった。突然やって来て、他人の世界に踏み込んで来る。かと思えば、今度は離れようとする。
''好きだよ、ばーか!!''
悪口を言っていたかと思えば……好きだと言う。
訳が分からない。
…その“好き”が、どういう意味なのか。
「…何で俺は…」
意味なんてどうでもいいではないか。
何も要らない。
僕はただお館様の為に鬼を切るだけ。
何かを持つなんて…弱くなるだけだろう。どうせ新しい事は忘れていくんだから。
''むいくん!''
なのに何故…Aの声が、笑顔が、頭から消えないのか。
彼女を自分の側に置いておきたいと思うのか。
…分からない。
この気持ちは……何…?
…もう1度、彼女の気持ちを…今度ははっきり聞きたい。
そうしていると、見慣れた姿が見えた。赤いリボンに結われた、茶色のふわふわした髪が揺れる。
こそこそとしているが…それで気付かれないと思っているのだろうか。
僕は考えるより早く、その背中に声を掛けた。
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uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時