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第一話 ページ3

目の前にトラックが迫っていて、私は死ぬんだと思った。

でも…目を開けたら周りは見知らぬ世界で。


『ここ…何処…?』


森の中であることしか分からない。さっきまで青かった筈の空は真っ黒に染まっていた。暗く静かな空気が不安を募らせる。

取り敢えず私は、誰かいないか探すために足を動かした。

『すいませーん。誰かいませんかー?』

私の声には誰も答えない。返ってくるのは静寂だけだった。流石に泣きたくなってきた時、遠くで微かに声が聞こえた。私は安堵して声のする方へ走る。

『あのっ、私、急に知らないとこに来て……』

たどり着いた開けた場所に広がる光景を、私はすぐには信じられなかった。


赤く染まった2人の人間。

否、片方は人間とは言いがたい姿で…。


そう…言うならば…


『お…鬼…』


私の声に鬼が此方を向く。その口も倒れている人達と同じように、真っ赤に染まっていた。

「…なんだお前、妙な匂いがするなぁ。其処ら辺の人間よりずっと甘美な匂いだ」

逃げようと思っても、体が恐怖に震えて動かない。視界の端に見える、もう一人の赤く染まった人。きっとこの鬼に襲われたのだ。

ああ…鬼なんて…。まるで鬼滅の刃みたい…。

迫る鬼に私は覚悟を決める。


もし此処が鬼滅の刃の世界なら…むいくんに会いたかったな。



フワリ、と空気が変わった。


私と鬼の間に誰かが降り立つ。



小柄な少年。黒から毛先にかけて青のグラデーションになっている綺麗な髪。背中に書かれた''滅''という大きな文字。


ねぇ……私、夢見てるのかな。だって貴方は…


「何だテメーは!……よく見れば鬼殺隊じゃねーか?こんなチビが相手とはなぁ」

声を上げる鬼に向かって、少年は一瞬で、そして静かに刀を振るった。

「…うるさいよ」

その声は、紛れもなく毎日聞いていた声で。

『…む…いく…』


私は糸が切れたかの様に、意識を手放した。

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uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時

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