#8 ページ9
地面には数匹の虫の変死体。
そして先程まで、手元を動かしていたA。
「…それは…？」
『あ、いや…さっきこれを見つけて…。死んでるのかつついて確認して……可哀想だな、どうしようかなって…』
小さい声で紡ぐ言葉にAらしいと思った。純粋無垢で、優しい。
だけど、何故その言葉が言い訳の様に聞こえるのだろうか。
「埋めるかい？」
『……はい』
適当な深さの穴を掘り、虫をその中に入れ土を被せる。
普通の女性なら、この虫の姿を見ただけでも悲鳴を上げ遠ざかるだろう。男性でも進んでしたいと思わない位なのだから。
何も言わずただ黙々と埋めるAを見ると、''純粋無垢''という定義するのは一般的には間違っているのではないかと思う。
呪霊という異形と日々対峙する私達は、普通の人々とは無意識に感覚が異なっている。
だから、''純粋無垢''というのはあくまで呪術師に限定した上での定義で───
ｻﾞｸｯ
その音が数回聞こえた。横を向くと、Aは虫を埋めた場所に木の枝を思い切り刺している。その姿に思わず息を呑んだ。
私の視線に気付いたのか、Aが此方を向く。
『…墓って…何か刺しませんでしたっけ？』
こてん、と首を傾げるAからは、悪意は感じられない。
「あ、ああ…刺す…ね。うん、刺すよ」
多分、卒塔婆の様な物だろう。だけど…
「深く刺し過ぎじゃないかい？虫に当たるよ」
『大丈夫ですよー。当てませんって』
「でも、一応気を付けますね」、そう言ったAは、木の枝をぐりぐりとまた深く刺した。
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憂流(プロフ) - つっきーさん» こちらこそありがとうございます！とても丁寧に、そんな風に言って下さり、本当に嬉しいです…！ (2021年8月4日 9時) (
レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
つっきー - 訂正…このカプ？が一番好きです (2021年8月3日 23時) (レス) id: eaffa75066 (このIDを非表示/違反報告)
つっきー - もう何年か占ツク読んでんだけど、こんな読み終わった後に満足感と達成感を味わったのは初めてです…。有賀うございました、何気に今まで見た中でこのカプ？が好きです。 (2021年8月3日 23時) (レス) id: eaffa75066 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：憂流 | 作成日時：2021年4月5日 21時
