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#24 ページ25

Aが心底驚いた様子で私を見つめる。


『…逃げる…?夏油センパイ…私を逃すんですか…?そんな事したらセンパイまで…』

「怒られるかもしれないね」

『怒られる所じゃないですよ…』

Aは喜ぶ素振りは見せなかった。それ程私の身を案じているのだろう。

「…ずっと考えてた。私の中で、Aの存在は本当に大きいんだ」


1番だよ。


そう言えば、Aはピクリと反応した。



『夏油センパイ、私、狂ってますよ?』

「…知ってる」

『良いんですか?噛み付いて、下手したら殺しちゃうかも』


顔は笑っていた。だけどその目が微かに揺れる。迷子の子供の様に、不安そうに、何かに怯えている様に。


『センパイを…大好きなセンパイを殺せば…この渇きは永遠に満たされるんですかね』


だから私は、安心させる為に努めて優しく微笑んだ。


「良いよ。君なら良い」


このまま私の手が届かない所へ行ってしまう位なら。

そうなって、逆に私が君を殺してしまう前に。


Aの顔がぐしゃりと歪んだ。泣いてしまう、そう思った瞬間、直ぐに笑顔になった。その目には、もう迷いはない。あるのは、野生の獣の様な飢えだった。

1歩、また1歩と足を前に出したAは、スルリと私の首に手を回す。



「…A、」



満足気に微笑んだ彼女の柔い唇に自身のそれを押し付ける。顔を離すと、獲物を見つめるかの様な双眼が私を射抜いた。



『センパイ、』



ポツリと呟いた彼女は、怪しく口角を上げた。




そして、彼女はこう言葉を紡いだ。






『今夜、私の為に死んで下さい』






と。

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憂流(プロフ) - つっきーさん» こちらこそありがとうございます!とても丁寧に、そんな風に言って下さり、本当に嬉しいです…! (2021年8月4日 9時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
つっきー - 訂正…このカプ?が一番好きです (2021年8月3日 23時) (レス) id: eaffa75066 (このIDを非表示/違反報告)
つっきー - もう何年か占ツク読んでんだけど、こんな読み終わった後に満足感と達成感を味わったのは初めてです…。有賀うございました、何気に今まで見た中でこのカプ?が好きです。 (2021年8月3日 23時) (レス) id: eaffa75066 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:憂流 | 作成日時:2021年4月5日 21時

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