今夜、私の為に死んで下さい【夏油傑】

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自室に戻り、一息をつく。ベッドに腰掛けると、ギシ、と軋む音がした。
ふとAに手渡されたアンケートの紙を取り出す。表を見ると、思っていたものとは違う内容で眉を寄せた。


「……サイコパス、診断…？」



〈サイコパス診断〉

問１、貴方が家に帰ると、見ず知らずの死体がありました。貴方はその死体をどうしますか？

答、何もせず、そのまま生活する。


問２、夫の葬儀中、そこに来た夫の同僚に一目惚れをした未亡人。その夜に息子を殺害した。その理由とは？

答、息子の葬儀でまたその男性に会えるさもしれないから。


問３、貴方はある人を恨んでいます。その人の家に忍び込みその人を殺しました。その時、無関係な子供とペットも殺しました。何故か。

答、あの世で再会させてあげようとしたから。


問４、貴方が殺さなければならない相手が目の前で断崖にぶら下げられ、棒のような物に掴まって漸く生きている。貴方はどのようにして敵を断崖の下に落とすか。

答、指を１本ずつはなす。


問５、貴方は犯罪を犯し、警察に捕まった。警察は何故殺したのか貴方に質問する。何と答えるか。

答、なんとなく。




…………何だ、これは。




これを、Aが書いたのか？



一般解答を見なくても分かる。この解答は異常だ。



私は直ぐにAに電話を掛ける。先程会ったばかりだが、電話せずにはいられなかったのだ。数回コールが鳴った後にそれは途切れた。

［…センパイ？］

「ーッA…！あれは一体何なんだ…！？」

吐き捨てる様に言ってから気付く。私はAに何を言いたいのだろうか。何を言うべきなのだろうか。

黙っていたAはもう１度、ゆっくりと、センパイと言葉を紡いだ。

［…明日、これから送るメッセージに書いてある場所に来てくれませんか？時間も送るので］

それじゃあ、そう言って電話は途切れた。

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