好き、嫌い、やっぱり愛してる【五条悟】

#23 ページ25

Aは俺にとって何なんだ、と聞かれれば、''同級生''だと答える。
俺にとってあいつは、そういう存在だ。



「おにーさん、背ぇ高くてかっこいいねぇ」


こーいうナンパって流行ってんのか？


街を歩いていると話しかけて来た女子大生らしき人物に、取り敢えず笑みを浮かべる。

「どーも」

「１人〜？私とどっか行かない〜？」

「今取り込み中なんで」

「釣れないなぁ〜」

ギュッと腕に絡みついて来たその人に、内心舌打ちをする。別に、綺麗な女の人に興味を持たれる事自体は悪い気はしない。かっこいいと言われて嬉しくない訳でもない。

ただタイミングがタイミングだけに、ちょっとウザい。


「いいから離れ……！、」


視界の端に、ミルクティー色が見えた。


『……』
　
俺達を見つめていたAは顔をムッとさせ、踵を返して歩いていく。

「は？おいA…！」

追いかけ様としたが、腕を引かれ立ち止まる。今度は内心では無く、ちゃんと音に出して舌打ちをした。

「離せって…」

「彼女？」

「……はあ？」

俺を見つめていたその人は、にっこりと笑って腕を離した。


「彼女なら、仕方ないね」



ー


「A！」


呼びかけると、Aは歩くスピードを速める。足の長さが全く違うから、すぐに追いつくけど。

「A、迎えに来させておいて逃げるなよ」

…てか何で俺、こんなに必死なんだ？

振り向いたAは、まだムッとした顔をしていた。

『あの綺麗な女の人とイチャイチャしてた』

「してねー」

『でも嬉しそうだったじゃない』

……いやまあ、かっこいいって言われるの嬉しいじゃん。…ってさっきもこれ思ったな。

否定をしない俺にAは頬を膨らませ、また歩き始める。

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