第百三話 ページ6
夜。
縁側で空を見上げていると、パサリと肩に何かが掛けられた。羽織りだ。
「そんな薄着で外居て…風邪引いても知らないから」
『むいくん』
むいくんは呆れた様に私を見た後、隣に腰掛けた。
『鬼って風邪引くのかな?引かない気がするけど…』
「…見てるこっちが寒くなるから、口答えしないで羽織ってなよ」
『はーい』
ズレていた羽織りをちゃんと肩にかけ、それからむいくんをチラリと見る。
「…何か言いたい事あるの」
『…何でもない…』
「嘘」
むにっと頬を抓られた。思わず声を上げる。
「顔に出てる。分かりやすい嘘つかないで正直に言って」
抓られた頬を摩りながら考える。
どうせ顔に出るし、むいくんの言う通り正直に言った方が良いのかもしれない。
『むいくんって…炭治郎の事好きだよね…』
「…は?」
『いやまぁ、刀鍛冶の里の時からだろうけど。いつそんなに仲良くなったのかなって…ちょっと…驚いて…。炭治郎にだけすごく優しいし…』
何言っているんだ、とでも言いた気にむいくんは私を見る。そして、ああ…と呟いた。
「もしかして、嫉妬…?」
『ーッいや、そんなんじゃ…!』
「嫉妬したって顔に書いてるけど?」
『!?』
急いで顔に手を当てる。が、そこで気付く。こんな事したら、認めたも同然ではないか。むいくんの目元が嬉しそうに緩んだのを見て、無性に恥ずかしくなる。
「別に炭治郎だけ優しくしたつもりはないけど。…そうだね、敢えて言うなら…
Aの反応が面白いから意地悪したくなる」
『な、何それ…』
「…可愛いって事」
『か!?!?』
むいくん、そんな事言う性格だった!?
表情を変えずに言うから、慌てる自分が馬鹿みたいだ。…馬鹿だけど。
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作者名:憂流 | 作成日時:2021年1月31日 10時