境界線。参【時透無一郎】 (ページ47)

今日:13 hit、昨日:19 hit、合計:53,968 hit

第百四十四話ページ47

「夜明ケマデ四十分！！」

『！？』

突然、無惨が走って逃げた。

当然だ。無惨は誇りを持った侍でも、情で行動する人間でもないのだから。

無惨は生きることだけ(・・・・・・・)に固執している生命体。
夜明けも近く命が脅かされれば、逃亡する事にも一切の抵抗がない。

鬼にとっては、それが正解だけど…。

狡い。狡すぎるよ。

無惨は亡骸を踏みつけてまで逃走に必死だ。

『ーッ！！』

「A…！」

亡くなっているとはいえ、虫ケラのように隊士達を扱う無惨にカッとなり私は飛び出す。

無惨は、伊黒さんに愈史郎君の紙を渡そうとする炭治郎に攻撃を仕掛けた。

『血鬼術血桜・飛英』

ﾊﾞｷｬｯ

「Aっ」

「ぐっ…ッ！！」

衝撃が周りに伝わる。炭治郎の手から紙が離れてしまう。

「伊黒さん、大股３歩右へ飛んで！！」

炭治郎の声に、伊黒さんはダンっと地面を蹴る。だけど小さ過ぎて伊黒さんが見えない。加えてそんな中でも、無惨の脅威が迫る。
２人の間に、私と炭治郎が割り入った。

『鏑丸！！』

「頼むーーっ！！」

パクッと鏑丸が紙を口に咥えた。私達は無惨の攻撃をなんとか防ぐ。

「炭治郎、高梨、感謝する」

『「！！」』

愈史郎君の紙で視界は開かれ、格段に動きが良くなっている伊黒さん。

それに……

感謝するって。さっき、伊黒さんが。

私、少しは認められたのかな…？

「挟め！！常に挟む様に立ち回れ！！絶対にここから逃すな！！３人なら出来る！！」

『「はい！！」』