第百四十三話 ページ46
『愈史郎君…』
「お前は…」
悲鳴嶼さんの元に行くと、愈史郎君が必死で手当てをしていた。
悲鳴嶼さんの足は…片方無い。
『ーッ、』
ああ、やっぱり私の力不足のせいで変わってない。
『…酷い…の?』
「見て分かるだろ。出血が多い」
どうしよう。どうしよう。助けられなかったら…。私が弱いせいで…
「おい」
愈史郎君が低い声を出した。それに思わず肩を揺らす。私の反応なんて気にせず、愈史郎君は真っ直ぐに見つめてくる。
「動けるなら他に行け」
『…あ…』
「まだ…終わってないだろ」
………うん。
『終わって…ない…!』
そうだ。まだ終わってない。まだ悲観的になるな。反省も後からしろ。
私は大きく頷いて、他の人の所へ行く。みんな酷い傷だけど致命傷ではない。命に別状ないだろう。
「A…」
『!!、むいくん…!!』
瓦礫が散乱した場所からむいくんの声がし、急いで駆けよる。
「ごめん、引っ張って」
差し出された手を掴み、思い切り引っ張る。う、と小さく呻き声を漏らしながら、むいくんは瓦礫から抜け出した。
「…ほんとにごめん。今も、さっきも…何も出来なかった」
『そんな事ない…!むいくんのせいとかじゃ…』
ふと私はむいくんの足に目を向け、思わず絶句する。
『むいくん…足…』
酷い傷。血だらけだ。これ…歩けるのだろうか。
「…大丈夫。まだ戦える」
そう言ってむいくんは、戦っている炭治郎の方を見た。
無惨相手にギリギリの状態でいる炭治郎。すると、酸欠のせいか足を滑らせてしまう。
攻撃が迫った時、蛇の様に素早くそれを躱した。
『!、伊黒さん…!』
動けるみたいだけど、伊黒さんは主に顔に傷を負っていた。特に片目はその傷のせいで瞑ってしまっている。
『(…あれ…)』
伊黒さんって…両目傷を負って見えなくなるんじゃなかったっけ…。
本当に…変わってない…?
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作者名:憂流 | 作成日時:2021年1月31日 10時