検索窓
今日:22 hit、昨日:19 hit、合計:53,977 hit

第百三十三話 ページ36

やっと、やっと変わった。


変わったんだ…!!


私はむいくんを強く抱きしめる。まだ夢見心地な気分で、離してしまうと途端にむいくんが消えてしまいそうで怖かった。

「A、大丈夫だよ。大丈夫」

そんな私の気持ちを察してか、むいくんは優しい声で抱きしめ返してくれる。頭に置かれた手がとても温かかった。

『…むいくん』

「何…?」

名前を呼べば返事をしてくれる。それすら、とてつもなく嬉しくて涙が出て来た。

「…泣かないでよ」

むいくんは困った様に眉を下げ、私の涙を親指で拭う。その優しさが余計に私の涙腺を弱くする。

次々と私の目から涙が溢れる度に、むいくんの親指が左右に行ったり来たりを繰り返していた。


「小鳥遊、行かねばならぬ。顔を上げろ」


悲鳴嶼さんの言葉に従い、私は顔を上げる。むいくんも同じ様に顔を上げた。


「無惨を倒すまで…終わりではない」


そうだ。まだ終わりでは無い。ここを変えてもまだ次がある。


無惨を倒さない限り、幸せな未来はやって来ない。私達は終われないのだ。


「もう大丈夫なのか…?」

『大丈夫…!』


尋ねて来た玄弥に返事をする。それから流れ続ける涙を拭って、私は立ち上がった。


「行こう、A」

『うん!!』


大丈夫。むいくんも玄弥も、勿論炭治郎も。みんな居るから。


最後の結末も、きっと変えてみせる。

第百三十四話→←第百三十二話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (109 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
229人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:憂流 | 作成日時:2021年1月31日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。