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第百三十一話 ページ34

正直、Aの頸を刎ねたい訳じゃない。


だけど他の奴にやられる位なら…僕が責任を取ろうと、そう思っていた。


柱なのに。他の事なんて、全く興味なんてなかったのに。



それでも…



Aの目の前に行けば、目を見開き反応する。血の匂いに釣られているんだろう。



『…っ!、』



Aが、僕を諦めないから。



「……A」



Aが、ずっと記憶の中にいるから。




だから、



「…生きてるよ」



まだ、俺も諦めたくない。



僕の肩に手を置き、首筋に噛みつこうとしたAがピクリと体を震わせた。僕の声は届いている、その事実に嬉しさや安堵が生まれる。

そしてもう1度、Aの耳元で言葉を紡いだ。


「全員死んでない。上弦の壱も倒した。


…A、生きてるんだよ…」


『…っ、ぁ…?』


Aが声を漏らす。ギュッと僕の隊服を握りしめた後、恐る恐る横を向く。

鬼の目には変わりないけど、確かにその目に光が差した。


『……むい…く…』


名を呼ばれ、何かが奥底から迫り上がってくる。僕はAの細い体を強く腕の中に閉じ込めた。

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作者名:憂流 | 作成日時:2021年1月31日 10時

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