境界線。参【時透無一郎】 (ページ11)

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第百八話ページ11

『これが…私の家族、過去の話…』

時間は分からないけど、随分長く話をした気がする。

「…ねぇ…何？その…“きめつのやいば”って…」

全部話し終えた後、むいくんがそう呟いた。私は自分の手を強く握り締める。

『…むいくん、もう１つ話すね』

覚悟を決めた私はむいくんの方を向く。むいくんの顔には戸惑いの色が見えた。

『私、この世界の人間じゃないんだ。違う世界から来たの。

私の世界ではこの世界の事全部、“鬼滅の刃”っていう漫画になってるんだ』

むいくんが息を呑んだのが分かった。

驚くに決まってる。違う世界から来たなんて、普通なら信じられない。

『嘘だと思うかもしれないけど…嘘じゃないの』

「………うん…。嘘…だとは思わないけど…」

むいくんは戸惑いながらも口を開いた。

「Aがわざわざそんな嘘をつく理由が無いし…。それに…それなら…Aがあの時、あの場所にいた事の証明になる」

『…ごめんね…隠してた訳じゃないんだ』

「Aが謝る必要はないでしょ…。誰だってそんな事…簡単に口に出来ない…」

言うつもりはなかった。ずっと隠せるなら隠すつもりだった。何で…言ってしまったんだろう。

「………ねぇA。Aは知ってるの？

この先鬼殺隊が、無惨が、…僕がどうなるのか…」

『……言いたくない…』

言える筈がない。貴方は死んでしまう、なんて。だけどむいくんは、もう分かっているかもしれない。

自分がこの先どうなるのか。