私の夫は浮気性 (ページ4)

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3話ページ4

桃太郎side

『Aと申します。どうぞよろしく』

桃太郎「ああ、いえこちらこそ」

白澤「ちょっとお二人さん、何かしこまっちゃってんの。こっち来て座りなよ。Aは煎茶でいいよね？」

『はい』

白澤様の隣にA様が座り、俺も向かいの席に着いた。

白澤様は、手馴れた手つきでA様に茶をいれて、A様も礼を言わず当たり前のように受け取る。

なんかこうして見てると…

桃太郎「本当に夫婦って感じだな…」

白澤「桃タローくんは、まだ僕たちの関係をうたがってたわけ？」

桃太郎「いや…未だにアンタみたいな女好きに、こんないい奥さんがいたなんて信じられない…」

白澤「失礼だな！」

『私そんないい妻じゃないですけどねぇ』

桃太郎「え？」

『私、堕天しましたし』

桃太郎「は！？」

堕天って…
こんな才色兼備でも堕落して天から落ちるのか？

桃太郎「そういえば、A様って鬼ですよね。角生えてるし」

『正しくは半分だけ鬼ですね。これでも元は名のある天女だったんですよ』

白澤「半分鬼で半分天女だから、天国と地獄の仲介役なんて板挟みな仕事ができるんだよね」

『おかげさまで。でもこんな中途半端な存在は私くらいなので、他に代役がいないんですよ。だから休みもなくて…』

だから滅多に帰って来れなくて、白澤様の所に入り浸ってる俺でも今まで面識がなかったのか…

納得したその時だった。

ガラッ

白澤「げっ」

鬼灯「人の顔みて吐きそうな顔するの、やめてもらえます？」

白澤「日頃の行いだろ！」

鬼灯「その台詞、そっくりそのままお返ししますよ」

桃太郎「鬼灯様！」

店に訪れたのは鬼灯様。
俺の恩人でもある人だ。

白澤様と顔を合わせるたび喧嘩をしているけど、閻魔大王の補佐官という立派な立場にあるお方だ。

桃太郎「今日はどうしたんです？」

鬼灯「頼んでいた薬をもらいに」

白澤「閉店の看板出てただろ。今日は休みにしたんだよ、とっとと帰れ」

鬼灯「あなたの事情なんて知ったことありませんよ。こっちは客ですよ、とっとと薬出せ」

ああ…また始まった

桃太郎「白澤様、やめましょうよ。奥さんの前ですよ？薬はもうできてんだから渡すだけでしょ」

鬼灯「奥さん？誰の？」

桃太郎「え？だからここに白澤様の奥さんが…あれ？」

振り向いてA様の方を見たが、Aさんの姿は忽然と消えていた