第10話 ページ11
貴方side
何分…何時間…走っただろう
もう、それはもう、数え切れないくらい
『…』
そして、見つけた
人気のない、路地裏
何かから逃げるように隠れている小さな体が、小刻みに震えていた
私は荒れた息を整えて、近づき
その子の上に、傘を指した
『転弧くん…』
「！」
その子はまるで、ただ音に反応したかのように
ビクンと跳ねて、ゆっくりとこちらを見上げた
『！その傷…』
転弧くんは、血が出るほど顔をかいていた
涙を流しながら
何か、奥から溢れる気持ちを抑え込むように
『転弧くん…何があったの？』
「…」
聞きたいことは山ほどあった
謝りたいことも、山ほどある
でも…今この子が苦しんでいる原因が知りたい
話なんて、その後にいくらでもできる
「…殴られた………知らない…人たちに」
『！…そっか。いつ？』
「…さっき」
ここは人気のない路地裏
ガラの悪いのも、うじゃうじゃいる
本当に「さっき」なら、まだこの近くにいるはずだ
『…君は、どうしたい？』
「…」
返事がない…いや、
何かにためらっているようにも見える
私はもう一度聞いた
『君は、何がしたい？』
「……僕を殴った、あの二人を……殺したい」
『！…』
ああ…やはり、この子は普通の人間だ
「殺す」と聞いて、心の底から恐怖が湧いている私も
嫌な人間がいて、「殺したい」と思うこの子も
そこら辺にいる人達と何も変わらない
「殺してやりたい」なんて、誰もが思う
軽蔑されることなんてない…普通の感情だ
ただ違うのは…
『転弧くん。殺すよりもっといいこと、お姉さんが教えてあげるよ』
「…？」
違うのは…
「殺したい」を実行するのか、しないのか
それを選ぶまでの道に…
ヒーローがいるか否かだ
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そら(プロフ) - 白兎さん» ありがとうございます！とても嬉しいです！マイペースながら、頑張って投稿していこうと思います (2023年1月21日 19時) (
レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！ (2023年1月21日 19時) (レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
白兎 - こういう小説を求めていたのでこの小説に出会えて良かったです、、これからも体調を崩さない程度に投稿していただけたらありがたいです (2023年1月17日 23時) (レス) @page8 id: 0b3ef26d69 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - このケースの話は見たことなかったので楽しみです！ (2023年1月15日 23時) (レス) @page8 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - シロヌコさん» ありがとうございます、これからもマイペースに投稿していきます！暇な時にでもまた見に来てくれると嬉しいです (2023年1月15日 22時) (レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そら | 作成日時：2022年8月30日 23時
