２人の神と天使の話。【イナオリ】 (ページ12)

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２人の神と、天使の話。ページ12

古ぼけた神社の中。
淡い光をまといながら、涙を流している誰かがいた。彼らは彼女を見つけると、しばらく彼女の言葉を聞いていた。
寂しいと言う思いが痛いくらいに詰め込まれた、誰にも聞かれることのないはずの言葉をしっかりと聞いていた。

彼女が願いを口にすると、片方が堪えきれずに声を上げた。

「それなら、俺たちが叶えてやる」

長髪をたたえ、かつて神を名乗っていた少年が柱の陰から彼女の姿を確かに見つめた。近くからもう１人の少年も姿を現し、予定と違うと言わんばかりに頭をかいた。

「お前の願いは、俺たちがちゃんと伝えてやる。まぁ伝わるかはわかんねぇけどな」

そう言いながらも手を重ねそっと目を閉じる。もう片方の少年も微笑みながら手を重ねた。
彼女がずっと捧げてきた祈りの姿勢が確かにそこにあった。

「「あなたの願いが叶いますように」」

緩やかな風が吹いた。
頭上で光る数多の星は変わらずそこで光っている。小さな花が揺れ、少年たちの髪をふわりと浮かせた。少しして彼女の声が聞こえないのを気にして少年たちが顔を上げると、そこには涙をぬぐい、とても幸せそうな笑顔を浮かべている少女の姿があった。

「ありがとう」

ただそれだけを返すと二人の視界から瞬きの間に少女は消えた。残像を追うように二人が神社の本殿に向かうとその先には白い汚れない羽が２枚落ちていた。少年たちは彼女の願いが叶ったことを信じて、自分たちの帰るべき場所へと帰っていった。