２人の神と天使の話。【イナオリ】 (ページ11)

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天使。ページ11

天使は祈りを捧げるものだ。
そう教わった。

寂しい理由がわからない。
教わっていない。

どれほど時間が経ったのだろう。
あの時感じた寂しさがまだ尾を引き、だがそれでも人を探して祈りを捧げることしかできない私はまたそれを繰り返そうとしていた。

天使でいることが嫌なんじゃない。
神様になっていろんな人の願いを聞きたい。
それは変わっていない。
だが、寂しさはまだそこにあった。

「寂しい、なんで。なんで。こんな、寂しいの」

わかんないよ。
私がそう叫ぶとふと足音が背後から聞こえた。その時、やっとわかった。
なぜ、自分が寂しかったのか。

背後の足音が遠ざかっていく。
自分などそこにいないかのように、いなくなってしまう。当たり前だ、私のことは見えていないのだから。私は祈りを捧げていた。
祈りは人の願いを、神様へと通す手段のようなものだ。

それなら

.

私の願いは誰に届けて貰えばいいんだろう。

わかった途端にまたあの寂しさが襲ってきた。理解できたから何が変わると言うのか、全くその寂しさは無くならなかった。
理解しただけだった。
私の願いは、祈りは、神様に届かない。
人の願いや祈りを神様に届ける手段である自分が、何かを願うことなんてできやしない。

もしも、もしも、願いが届くなら。
誰かが聞いて祈って届けてくれるのなら。

私の願いは。