10:散髪 ページ10
「チクチクする」
「うるせー風呂入ってください」
幾らか短くなった髪を気にしながら文句を垂れる晋助。
髪が散らばらないようにと敷いたビニールを片付け終わった頃には、部屋に備えてある風呂場から水を流す音が聞こえてきた
購入した着物を畳み箪笥へ仕舞う。
羽織はハンガーに掛けクローゼットに引っ掛け、一応買ったものはこれで全て片が着いた筈だ。
「来島ッス。姐さん、いらっしゃいますか？」
急ぎ気味に襖を開くと宣言通りにまた子ちゃんの姿
「動力室の方でトラブルがあったらしくて、技師の奴等が姐さんに相談したいって言ってまして」
「動力室で？わかった、すぐ行くね」
「はい！じゃ、先に行って伝えておくッス」
「ありがとう、宜しく」
ぱたぱたと去っていったまた子ちゃんを見送って、私は適当に放り出していた羽織に腕を通す
「トラブルか」
髪から水滴を落とす晋助に手拭いを被せて少し乱暴に髪を拭く。
何時もならばドライヤーで乾かしてやるところだが、生憎と今日は時間がない
「動力室で何かあったらしいです。多分この前直した所だと思うんで、すぐ解決すると思いますよ」
武器と船の事なら戦争で嫌と言うほど仕込まれた。
あの船好きの男に酒を飲ませると始まる蘊蓄話がこんな風に役立つとは思っても見なかった。
わしわしと手拭いを動かす手に晋助の温まった手が触れ、思わず動きを止めた
「……もう良い、行ってやれ」
珍しい言葉に甘えることにして、私は草履をひっかける
「……ちゃんと髪乾かして服着るんですよ！」
「テメェは母親か」
早く行けとばかりの視線に背中を押される形で部屋を出て、私は気持ち急ぎつつ、動力室へ向かった
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姫華(プロフ) - とても面白いです！これからも更新頑張って下さい！ (2019年6月8日 23時) (
レス) id: c5633e9a43 (このIDを非表示/違反報告)
麦ちゃん - 本当に面白いです！これからも頑張ってください。応援しております！ (2019年3月9日 17時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
千颯(プロフ) - ああぁぁぁ〜！おかん体質の夢主ちゃんすこ過ぎます〜！！更新頑張ってください！ (2019年3月9日 1時) (レス) id: ee8ee87e1d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - とても面白いです！これからの展開が楽しみです。 (2019年3月2日 9時) (レス) id: d836fbb346 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲出雲 | 作成日時：2019年3月2日 0時
