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7:二日酔い ページ7

二日酔いってやつか、ずきずきと痛む頭と気だるさを圧して、私は晋助の布団を剥ぎ取った




「晋助、朝」

「……眩しい」

「当たり前ですよ、朝ですから。
ほら、さっさと起きて、布団ひっぺがしますよー」


言いながら敷布団まで取り上げると、漸く動きだし、その場で寝間着を脱ぎ始める。

まぁ、べつにもうそんなことできゃあきゃあ騒げる年頃でもないし、淡々と布団を畳み押し入れへ仕舞い込んだ



「……帯がねェ」



好みの女物の生地を用いた派手な着物に袖を通したまま、まだ寝惚けているのかそんなことを言い出す。


「……あーちょっと待ってくださいよ」



これだからボンボンは!と言いそうになるのを堪え、箪笥の中を漁る。

確かあの着物には、黒の帯を合わせていたハズだ


「ン。」


見つけ出した帯を片手に振り向けば、半裸の晋助がさっと手を広げた


「ったく、子供ですか?」


どうやら帯を結べと言うことらしく、溜め息を隠すことなく私は帯をもって晋助の前に膝を着いた


「生憎とクソガキなモンでなァ」

「チッ……ねちねちねちねち、アンタは京都の女ですか」

「ねちねちしてのは京都の女だけじゃねェさ」

「聞いてませんよンなことは」



得意気な顔でそう言う晋助の帯を小さな嫌がらせでキツく結んでやれば、キツイと遠慮なく頭が叩かれた



「今日は江戸に出る」


折角着付けてやった着物を早速着崩し煙管を手にする晋助


「これまた急ですね。目的は?」

「……観光」

「はいはい。んじゃ笠と羽織が必要ですね」




準備してきますからねーと部屋を出る。

ここ数年で、こんな生活にも随分馴れてしまった自分が恐ろしい。

きっとこうして母親のごとく甲斐甲斐しく晋助に世話をやく私を見れば"兄"は目を剥いて倒れるに違いないだろう


「ね、兄キ」


誰もいない廊下からは、当たり前だが返事は返ってこなかった







8:江戸→←6:居酒屋



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姫華(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張って下さい! (2019年6月8日 23時) (レス) id: c5633e9a43 (このIDを非表示/違反報告)
麦ちゃん - 本当に面白いです!これからも頑張ってください。応援しております! (2019年3月9日 17時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
千颯(プロフ) - ああぁぁぁ〜!おかん体質の夢主ちゃんすこ過ぎます〜!!更新頑張ってください! (2019年3月9日 1時) (レス) id: ee8ee87e1d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - とても面白いです!これからの展開が楽しみです。 (2019年3月2日 9時) (レス) id: d836fbb346 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年3月2日 0時

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