19:兄キ ページ19
ことん、と、汗をかいたグラスが黒いテーブルと触合い音を立てた。
三味線の音色に白粉の香り、暗い照明に賑やかな店内。
河上が選んだ店は────所謂オカマバーだった。
「……河上」
「何でござるか?」
けろっと首をかしげる河上は、どこか愉しげで、なんか、ちょっと引く。
「いや、何でござるかって言うか……何で此処チョイス?」
「A殿が何処でも良いと言ったので、かねてより来てみたかったこの店を選ばせてもらったでござる」
「うわぁ、かねてより来たかったんだ……」
楽しそうな河上にそれ以上何も言えず、ただ薄い水割りを口に運んだ。
氷が溶けているお陰でアルコールと言うには些か薄すぎたが、最早文句を言う気すらも起きない。
目の前で繰り広げられていた踊りが終わったかと思えば、ふと、甘い香りが鼻をついて、続いてぎしりとソファーが沈んだ。
「ご指名ありがとーございまぁす、パー子…で、」
ぱちり、と、血赤色が私を見下ろしながらこれでもかと言うほどに見開かれた。
くりんくりんの白に近い銀の髪。
女の格好をしていてなおわかるガタイの良さ、筋肉の着き方、離れた目と眉に、白粉に混じった甘い香り───間違いない
「っ、兄がごっ!?」
口を塞がれた、そう思った瞬間、強かに後頭部が壁に打ち付けられ、私の意識は引きずり込まれるように消えていった。
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姫華(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張って下さい! (2019年6月8日 23時) (レス) id: c5633e9a43 (このIDを非表示/違反報告)
麦ちゃん - 本当に面白いです!これからも頑張ってください。応援しております! (2019年3月9日 17時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
千颯(プロフ) - ああぁぁぁ〜!おかん体質の夢主ちゃんすこ過ぎます〜!!更新頑張ってください! (2019年3月9日 1時) (レス) id: ee8ee87e1d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - とても面白いです!これからの展開が楽しみです。 (2019年3月2日 9時) (レス) id: d836fbb346 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年3月2日 0時