18:斬ると言うこと ページ18
「……ふぅ、」
穏やかな表情で布団にくるまる晋助に、ほっと息を吐き出した。
外しっぱなしで放られた包帯をくるくると巻いて、懐へ仕舞ってから、乱れた足元の布団を整え、改めて晋助の寝顔を見た。
細い前髪を払って、白い頬を1度だけ撫でる。
何時もよりずっと幼いその表情のせいかもしれない。
兄の手を振り払って、ここまで来た。
「A殿、居るでござるか?」
「直ぐ行きます」
さらりと指で暗い髪をすいて、壁へ掛けっぱなしにしていた刀を手に、灯りを消してから襖を開いた。
「晋助は」
「お休みに。何かご用でした?」
そうかと頷いた河上に、部屋から出て草履を履く。
ふっと口の端を持ち上げた河上はくいっと手を上げて見せた。
「では、一杯いかがでござるか?」
サングラス越しの目が緩く細められる。
少しばかりの晋助の事が気になりはしたが、ふ、と息を吐き出して、彼に笑みを向けた。
「……そうですね。羽織をとってきます」
「ああ、それでは外で待っていよう」
ぎ、と握りしめた鞘が軋んだ音を立てた。
きっとこの刀は打ち直さなくては使えないだろう、鞘だって取り替えなくては。
自室に刀を放って、刀掛台から脇差しを腰に差す。
財布を懐に仕舞ってから、入れっぱなしにしていた包帯を机に置いて、掛けていた羽織に袖を通す。
ふと襖を開こうとした手を見下ろした。
嗚呼、私の手はこんなにも────。
「……急がないと」
───血濡れている。
・
236人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
姫華(プロフ) - とても面白いです!これからも更新頑張って下さい! (2019年6月8日 23時) (レス) id: c5633e9a43 (このIDを非表示/違反報告)
麦ちゃん - 本当に面白いです!これからも頑張ってください。応援しております! (2019年3月9日 17時) (レス) id: ad939e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
千颯(プロフ) - ああぁぁぁ〜!おかん体質の夢主ちゃんすこ過ぎます〜!!更新頑張ってください! (2019年3月9日 1時) (レス) id: ee8ee87e1d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃむーしゅ(プロフ) - とても面白いです!これからの展開が楽しみです。 (2019年3月2日 9時) (レス) id: d836fbb346 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年3月2日 0時