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56:土下座 ページ8

翌日、3時45分頃。
会議に使われる広間の襖を開けた



「え……」



一斉に注がれた視線の中、伊東が口元に笑みを浮かべた。


────やられた


4時から会議など伊東の嘘であったのだ。
不審そうな目に、言葉を失っていれば、一番奥に座っていた局長がホッとした顔をしているのに気づいた



「Aちゃん!良かった!何かあったのかと思ったよ!」

「……Aさん、会議は3時からだと伝えていた筈だが、一時間も遅刻してくるとはどう言うことだ」


眼鏡のブリッジを持ち上げる伊東は厳格な視線を私に向ける


「……私は4時からと、」

「言い訳が苦しいな。……実に残念だ」

「と、兎に角座ってくれ。会議を続けよう……そうだAちゃん、トシを知らないか?」



指定された席に腰を下ろすと心配そうな局長に首をかしげる。
確かに、局長の隣は空席だ。



「副長が来られていらっしゃらないのですか?」

「ああ……何かあったのかもしれん。携帯に電話しても出ないし……」

「そんな、」



ガシャアアンッ!!
けたたましい音と共に煙が巻き上がり、私は咄嗟に刀を握る

煙が晴れ出した頃、聞きなれた声が、聞きなれない言葉を発した



「ちゃーす!!焼きそばパン買ってきたス!!沖田先輩!!」



這いつくばる副長の姿に空気が凍りついた



「っ───!!」



正気を取り戻した副長が目を見開き沖田さんに視線を向ける。

隣に座った伊東諸とも、薄気味の悪い笑みを浮かべた。


局長が口を開く前に、と、私は畳に腹を着けたままの副長の前に正座し、額を擦り付けた



「──申し訳御座いません副長!!」




「え!?Aちゃん!?」



声を張り上げた私に、局長が驚きで立ち上がる音を聴いた



「副長に本日の御予定を御伝え致したのは私で御座います!!」

「じゃ、じゃあ……」

「如何にも、私は副長に会議は確かに四時と御伝えいたしました。この件は全て私に非が御座います。真に、申し訳御座いませんでした」



副長に改めて頭を下げると、会議室はざわつき始めた。
背中に、伊東の鋭い視線が刺さる



「だだだ大丈夫だから!!頭上げて!ほら!」



肩を捕まれ、困ったような笑みを浮かべる局長は私と副長を席に着くように促した



「トシも座って、ほらAちゃんも、ね?」






57:変化(H)→←55:企み



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みぃ(プロフ) - コメント失礼します!こちらの作品がとても大好きでいつも楽しく読んでます。更新頑張ってください。応援してます (2019年5月31日 19時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - れもんさん» 楽しみにしてます!私の考えなのですが、伊東さんは、もしかしたら愛情が欲しかったのかな?と思いました。 (2019年2月19日 23時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 虎さん» お返事遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます!!伊東さん…確かに頭が良くて何と無く怖い印象があるのわかります…でも生い立ちもラストも切なくて……。真選組動乱編終了までもう少しですので楽しんでいただけるよう頑張ります! (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
- 面白いです!私は伊東さんっていつ見ても少し怖い印象を持っています。 (2019年2月17日 20時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年2月13日 0時

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