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65:仲間 ページ17

私には、伊東殿の苦悩など、何一つ理解できなかった。

さして武に秀でているわけでも、学があるわけでもない私には、彼の苦悩は、とても、とても、贅沢なものに思えた。


私には、彼の苦悩は理解できない。


しかし、その瞳が語る言葉は、痛いほどに良く分かる。



「立て、伊東。決着つけようじゃねーか」



訪れたその時。
伊東が浮かべていたのは、まるで幼い少年のような笑みだった。




「が…とう……あり……がとう」




涙と笑顔と、そして絆と共に、伊東鴨太郎はその短い生涯に幕を閉じた。





倒れ行く伊東殿を見ながら、考えていた。

私がしていることは、あの頃と何一つ変わっていない。
人を斬り、自分が生き長らえる。
強ければ生き、弱ければ死ぬ。まさに弱肉強食の死地に身を投じている。

しかし、あの頃とたった一つ、違うことがある。



「おい、ぼさっとしてんじゃねェ。斬られてぇのかィ」

「……仲間と言うのは、良いものですね」



背中を預ける相手がいる。
目には見えぬ、絆と言う名の糸がある。


「私はどうやら、幸せ者のようです」


共に戦うことができる。
今此処に立っていられる。
こうして剣を握っていられる。


今、ここで、生きている。



穏やかな顔で眠る伊東殿に、私は、叶わぬことであると知りながらも、少し、彼と話がしたいと思った。









66:ノリとリズム→←64:爆発



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みぃ(プロフ) - コメント失礼します!こちらの作品がとても大好きでいつも楽しく読んでます。更新頑張ってください。応援してます (2019年5月31日 19時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - れもんさん» 楽しみにしてます!私の考えなのですが、伊東さんは、もしかしたら愛情が欲しかったのかな?と思いました。 (2019年2月19日 23時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 虎さん» お返事遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます!!伊東さん…確かに頭が良くて何と無く怖い印象があるのわかります…でも生い立ちもラストも切なくて……。真選組動乱編終了までもう少しですので楽しんでいただけるよう頑張ります! (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
- 面白いです!私は伊東さんっていつ見ても少し怖い印象を持っています。 (2019年2月17日 20時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年2月13日 0時

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