64:爆発 ページ16
血塗れの沖田さんを介抱しながら車両を移る。
車窓からは、銀時殿が木剣を振るう様子が僅かにだが確認できた。
「局長……よくぞ御無事で」
「済まんAちゃん……、俺ァ……」
煤だらけの顔を歪める局長に、沖田さんが得意気に笑みを浮かべる
「謝る必要なんてねェでさァ近藤さん。コイツも、ただの垢ってことでィ。なぁ？大祝」
「何の話かは存じませんが、私は、貴方が殺されることが我慢ならない。いつの間にか、随分と真選組に執着していたようです」
大切なもの。そんなこと、意識したことすらなかった。
失いたくないと、無くしたくないと、誰にもくれてやりたくはないと、そう思ったのは初めてだった。
振るう刀は確かに重かった。
奪う命は、軽くはなかった。
それでも、私は私のために、"私の真選組"を守るために剣を振るった。
「Aちゃん……」
眉を寄せて今にも泣き出しそうな、そんな笑みを浮かべる局長に、笑みを向けた。
「騙されちゃいけませんぜ近藤さん。その女ァ相当な猫かぶりでさァ」
「えっ！そうなの！？」
「くだらないことを仰らないでくださいますか」
「おいテメェ。上司に対する口の効き方ってのを────」
ピッ。
何処からかは解らないが、不穏な音が聞こえた気がした。
「局長！！」
「近藤さん！！」
私と沖田さんは咄嗟に局長に飛び掛かり、覆い被さり、そのまま車両の床に身を伏せた。
１秒もたたぬ内に凄まじい爆音と爆風が起こり、車両は半分ほどを木っ端微塵に吹き飛ばされた
もう少し爆心に近ければと考えてヒヤリとする
「爆発！？何で！」
「鬼兵隊か……ヤツら端から真選組ィ潰すために伊東を利用してやがった！」
「伊東の反乱を手引きして協力する体を装い仲間割れで消耗した真選組を壊滅させる……そう言う筋書きでしょうか」
「チッ、ここは不味ィ、近藤さん、こっから出やしょう」
いち早く体を起こした沖田さんが局長を立たせようとする
「待て！！トシと先生が、」
「この期に及んでまだ野郎を」
「局長、此方です」
「大祝！」
爆心に近い方へと局長を案内しようとする私に、沖田さんが声を荒げた
じっと飴色の瞳が私を睨み付ける。
しかし私は小さく頭を振り笑みを浮かべた
「伊東殿は、私の上司ですから」
「……チッ、帰ったら何か奢れよ」
「元より、貴方には兼ねてから御礼をするつもりでしたから」
そう言って笑えば、沖田さんは不機嫌そうに再び舌を打った
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みぃ(プロフ) - コメント失礼します！こちらの作品がとても大好きでいつも楽しく読んでます。更新頑張ってください。応援してます (2019年5月31日 19時) (
レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
虎(プロフ) - れもんさん» 楽しみにしてます！私の考えなのですが、伊東さんは、もしかしたら愛情が欲しかったのかな？と思いました。 (2019年2月19日 23時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 虎さん» お返事遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます！！伊東さん…確かに頭が良くて何と無く怖い印象があるのわかります…でも生い立ちもラストも切なくて……。真選組動乱編終了までもう少しですので楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
虎 - 面白いです！私は伊東さんっていつ見ても少し怖い印象を持っています。 (2019年2月17日 20時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲出雲 | 作成日時：2019年2月13日 0時
