43:大仕事 ページ44
結局のところ、赤い着物の女の正体は、子供を産むために栄養(血液)が必要だという天人だったそうだ。
私達はいつのまにか気を失っていたらしく、回復した局長に起こされ、倉の中で朝を迎えた。
副長と銀時殿はひどく疲れた顔をしていたが、理由を聞いてもはぐらかされるため諦めることにした。
ともあれ、倒れていた隊士も回復し、我々真選組は、この度、非常に大きな仕事を任されることとなった。
「将軍にかすり傷一つでもつこうものなら俺達全員の首が飛ぶぜ!その辺心してかかれ」
そう。
今夜の祭りに来ると言う将軍様の護衛である。
「間違いなく攘夷派の浪士共も動く。とにかくキナくせー野郎を見つけたら迷わずブった斬れ。俺が責任をとる」
「マジですかィ土方さん…俺ァどーにも鼻が利かねーんで侍見つけたら片っ端から叩き斬りまさァ。頼みますぜ」
「オーイみんな。さっき言ったことはナシの方向で」
それから、と副長の視線が私に向く。
「以前料亭で会談をしていた幕吏十数人が襲われた事件があっただろう」
ハッとして、思わず背筋が伸びた。
もはやすっかりトラウマと言うヤツになってしまったのか、無意識に体が強張る。
「あらぁやつの仕業だ。そうだな……大祝」
「……はい、過激派攘夷浪士・高杉晋助です」
ざわりと部屋の中に動揺の声が広がった。
自分で言葉に出してしまえば、まるで体が鉛になったかのように重く感じた。
腰の刀を強く握り、固く目を閉じ、頭の中から高杉晋助の存在を追い出そうとしてみる
しかし、思ったような効果は得られず、私はとりあえず、小さく震える手を悟られないように、固く握りしめた
ヤツが江戸にいることは間違いない。
まるで頭に入ってこない副長の言葉が途切れた頃には、丁度日が暮れ始めていた
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れもん(プロフ) - 月歌さん» ご指摘ありがとうございます!ただいま確認、訂正致しました。対応が遅くなってしまい申し訳ありません。これからもどうぞ宜しくお願い致します (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
月歌(プロフ) - コメント失礼します!この話すごく好きです!あ、あと、43話の総悟のセリフ、「〜ますァ」より、「〜まさァ」の方が総悟らしさが出ると思いますよ…!余計だったらすいません<(_ _)>これからも応援してます! (2019年2月7日 1時) (レス) id: 6a57b5564a (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 橋本さん» ありがとうございます!文才と学だなんて……嬉しすぎます…!稚拙な文章ですが、これからも楽しんでいただけるように頑張ります! (2019年2月6日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
橋本(プロフ) - 文才と学の多さに圧倒されました……すきです。ふとしたときの表現だったり言葉で本当に知識のある方なんだなぁと思いました。続き楽しみにしてます、更新頑張ってください! (2019年2月4日 23時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - (о´∀`о)さん» コメントありがとうございます!ゆっくりですができるだけ更新していきたいと思っております! (2019年2月4日 7時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年1月28日 16時