検索窓
今日:13 hit、昨日:13 hit、合計:44,384 hit

30:会談 ページ31

「いやぁ悪いねェAちゃんつったっけ?」


流れる風景を横目に見ながら、白髪の男が煙混じりの息を吐き出した。

警察庁長官・松平片栗虎

彼直々の指名らしく、私は隊服に身を包み、幕吏が会談をすると言う料亭に向かっていた


「折角旨い飯ィ食うってのに華がなきゃいけねェよなァ」

「……精一杯勤めさせていただきます」

「おう、頼むぜ」


降車し、松平殿を乗せた車が見えなくなるまで見送り、料亭に入る。
話はついていたようで、私は会談が行われていると言う部屋の隅に腰を下ろした。

政の話に詳しく関わったことはなかったが、どうやら金策の話らしい。
将軍がどうだ、税金がどうだと次々に飛び交う言葉をなるべく耳に入れないよう、じっとその場に座り続けていた



「失礼致します。お連れ様がお着きになられました」


するりと開いた襖から顔をだした中居の言葉に、幕吏達はみな揃って首をかしげた



「連れ?……いや、今日は此処に来る人間はもう居ないが」

「ですが、此方でお間違いないと。御名前は─────」



ぞっ、と、背筋が冷たくなった。

中居のひきつった悲鳴が聞こえて、室内が騒然となる。

合わさった刀がギシギシと音を立て、頬を冷や汗が伝った



「……ほォ、幕府の狗が番してやがったのか」



ギラリと光る隻眼に愉しげな色が浮かぶ

何だ、この男は。



「きっ、貴様!!」
「高杉ィ!!」

「高杉……?」
「何をしておる!!貴様!早くそいつを斬らんか!!」



幕吏の声に気をとられた瞬間、競り合っていた刀が弾かれ、私は中居の襟を掴み後ろに飛んだ


「ククッ……なかなか骨のある奴が居るじゃねェか」




愉しげに笑ったその男は、ゆらりと鈍色に光る刃を構えた







31:高杉晋助→←29:薄桃色(H)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (38 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
59人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , トリップ , 真選組
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れもん(プロフ) - 月歌さん» ご指摘ありがとうございます!ただいま確認、訂正致しました。対応が遅くなってしまい申し訳ありません。これからもどうぞ宜しくお願い致します (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
月歌(プロフ) - コメント失礼します!この話すごく好きです!あ、あと、43話の総悟のセリフ、「〜ますァ」より、「〜まさァ」の方が総悟らしさが出ると思いますよ…!余計だったらすいません<(_ _)>これからも応援してます! (2019年2月7日 1時) (レス) id: 6a57b5564a (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 橋本さん» ありがとうございます!文才と学だなんて……嬉しすぎます…!稚拙な文章ですが、これからも楽しんでいただけるように頑張ります! (2019年2月6日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
橋本(プロフ) - 文才と学の多さに圧倒されました……すきです。ふとしたときの表現だったり言葉で本当に知識のある方なんだなぁと思いました。続き楽しみにしてます、更新頑張ってください! (2019年2月4日 23時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - (о´∀`о)さん» コメントありがとうございます!ゆっくりですができるだけ更新していきたいと思っております! (2019年2月4日 7時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年1月28日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。