23:葛藤 ページ24
「酷ェな」
血塗れの私を見た銀時殿が、苦笑いを浮かべた。
既に空には月が昇っていて、しかしそれでも明るいのは、街灯と言うものがあるからだ
「子供は、」
「今頃母ちゃんの貧相な乳にむしゃぶりついてんだろうよ」
「……そうですか」
無事に済んだようで良かった。
そう言って笑えば、銀時殿は困ったように頭を掻いてから、ベンチに座り私にも座るように促した
一人ぶんの間を開けて腰を下ろせば銀時殿は私に目を会わせずに、缶に入った酒を一口煽った
「あー、何だ、……聞いてやるから話してけよ」
どきりと心臓が跳ねた。
何の事だ、とはぐらかしても良かったかもしれない。
けれど、何と無くそれは許されないような気がして、私は数回深呼吸をした
「……私も、似蔵と、同じです。
命令されるがままに、数えきれないほどの命を奪ってきました
私にはそのくらいの能しかありませんでした。
皮肉にも、剣術の得意な私は必然的に、多くの……そして様々な人を斬るように命じられました。
そんな時でした、ある男に自らの存在意義と言うものについて問われ、私は何も答えられませんでした
それから……ずっとです」
迷い、葛藤し、刀を抜くことをしなかった。
自らの存在意義とは何だ、なぜ人を斬る、斬らなくてはならない。
こんなことをして何になる。私は、どうすれば良い?
「命令に背き続けた私に、藩は見せしめとして、私の弟を斬り殺しました」
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れもん(プロフ) - 月歌さん» ご指摘ありがとうございます!ただいま確認、訂正致しました。対応が遅くなってしまい申し訳ありません。これからもどうぞ宜しくお願い致します (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
月歌(プロフ) - コメント失礼します!この話すごく好きです!あ、あと、43話の総悟のセリフ、「〜ますァ」より、「〜まさァ」の方が総悟らしさが出ると思いますよ…!余計だったらすいません<(_ _)>これからも応援してます! (2019年2月7日 1時) (レス) id: 6a57b5564a (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 橋本さん» ありがとうございます!文才と学だなんて……嬉しすぎます…!稚拙な文章ですが、これからも楽しんでいただけるように頑張ります! (2019年2月6日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
橋本(プロフ) - 文才と学の多さに圧倒されました……すきです。ふとしたときの表現だったり言葉で本当に知識のある方なんだなぁと思いました。続き楽しみにしてます、更新頑張ってください! (2019年2月4日 23時) (レス) id: cee43a9737 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - (о´∀`о)さん» コメントありがとうございます!ゆっくりですができるだけ更新していきたいと思っております! (2019年2月4日 7時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年1月28日 16時