【銀魂】祈る暇があるのなら

15:対決(k) ページ16

まずい。

既に上がり始めている息に、俺はちらりと後ろを振り返った

まだ間合いには入ってはいないらしいが、随分と余裕そうな足取りで走る真選組の新入りは、俺お手製のんまい棒の煙幕にも怯むことなく俺を追い続けている

命令には忠実に。なるほど、幕府の犬とはよく言ったものだ


「っ！」


鋭い刃が振り下ろされ、羽織の裾がはらりと舞った


「……随分と手荒だな。俺を逮捕するつもりではないらしい」

「逃げるようなら斬れと指示を受けました」


顔色一つ変えぬまま新入りは淡々とそう告げる
これ以上逃げようにも、背後は窓。
今日はパラシュートの用意もない。


「致し方無い。俺は、ここで死ぬ訳にはいかんのでな」


柄に手を掛ければ、新入りは僅かに目を細めた

新入り、とは言うものの、こいつはどうやら数えきれぬほどの死線を潜ってきたらしい

ある程度の覚悟と、ある程度の余裕。

しかしおそらく、一度間合いに入れば、この戦いは決するだろう。

久々に背筋に僅かな緊張が走る。


ヂッ、と、耳の奥で何かが焼けるような音がした



「っ───！！」



流石に引っ掛かってくれたか。

催涙効果のある煙幕の中で、新入りが膝を付くのを確認した



「ふっ、まだ青いな。さらばだ───ぬおっ！？」



腹が締め付けられる！

そう思った頃には、俺の体には太い縄が巻き付けられていた。

徐々に煙が晴れ、現れたのは黒服の集団。

その真ん中で煙草をふかす男が俺を見てニヤリと手にした縄を見せ付けた



「よくやった大祝。テメェの手柄だ」








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