20.悪寒 ページ20
移動する頃には、すっかり日が沈んでいた。
シーザーの友人、マルクが運転する車に乗り込んだ一行が到着したのは、かの有名な真実の口だった。
ガコンッと何か仕掛けを動かす音がしたかと思えば、ぐるりと白い円の石が移動し、地下へと向かう階段が顔を出す。
「──A？」
マルクを先頭にずんずんと進んでいく一行に、Aはただ一人その場に縫い止められたように腕を組んで立っていた。
その表情は、ジョセフが見てきたどんな時よりも険しく真剣だ。
「どうした？」
引き返してきたジョセフに、Aは静かに息を吐き出した。
「ねぇ、マルク、貴方はここで待っていた方が良いわ」
「えっ？」
階段の半ば、暗闇の中でAとジョセフを待っていた三人は間抜けな声を上げて、光の差す方へと視線を向けた。
「しかしA、マルクの案内がなければこの先は……」
「A？一体どうしたと言うのだ」
「……良いこと？この穴蔵の中に"生きた人間"はもういないわ」
Aの言葉に、一行は言葉を失う。
沈黙に支配された闇夜に、Aの鼻は敏感に人の血液の酸化した匂いを感じ取っていた。
そして同時に、ぞわぞわと背筋を粟立てるような悪寒を感じさせる存在をも感じている。
「今すぐ……今すぐに引き返すべきよ」
ゴクリと唾を飲み込んだのは、スピードワゴンだけではなかった。
「……わかったぜ、マルク、オメーは外に居な。じいさん、アンタもだ」
「ジョジョ！？」
「俺は行かなきゃなんねーんだぜ！！そのためにわざわざイタリアにまで来たんだからよォ！」
「俺もだ、A、君は外で二人を頼む」
「シーザー！ジョセフ！」
感じないと言うのだろうか。
Aは二人の手首を掴みその歩みを阻害する。
今にも震えてしまいそうなほど禍々しい空気。この中に"ただの人間"が入り込んで、無事で済むわけがない。
「……だったら、私も行くわ」
最悪の場合、二人を逃がすことくらいはできるかもしれない。
大きく頷いたジョセフに対し、シーザーは少し複雑そうに眉を寄せる。
Aは大きく深呼吸をしてから、ようやく階段の一段目を踏みつけた。
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推しが尊い - おもしろかったです(*>ω<*)更新ｶﾞﾝﾊﾞｯﾃｸﾀﾞｻｲ(o⌒∇⌒o) (2019年5月7日 22時) (
レス) id: f1f75a744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れもん x他1人 | 作成日時：2018年11月5日 20時
