えぇ、ホンモノの吸血鬼ですが？② (ページ1)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:15,554 hit

1.知らせページ1

「聞いてくれよ！！A！！」

ある日家に飛び込んできたスピードワゴンの言葉に、Aは、ついに彼は何処かを悪くしたのかもしれないと考えた

「あー、OK、スピードワゴン、少し落ち着きなさいよ、あなた、医者にはかかった？」

長い銀髪を深紅の染め花のバレッタでまとめ、落ち着いた黒のドレスにハイヒール姿のAは鼻息を荒くするスピードワゴンを椅子へ座らせた

「医者だァ！？おめぇさん俺がおかしくなったって言いてぇのか！」

「昔から兆候は感じていたわ」

湯を沸かし、茶葉を用意する。
Aが自分で選んだとびきり良いものだ。

「相変わらずなんてェ女だッ失礼極まりねェ！！」

「あら、貴方に言われたくは無いわね。未だにレディの扱い一つ知らないんだもの」

つんと唇を尖らせながら、Aはてきぱきと紅茶を用意した

湯の沸かしかた一つとして知らなかったAだが、スピードワゴンと暮らす内、嫌でもできるようになった

今では食材さえあれば料理だってできるし、太陽さえ出ていなければ、一人で買い物だってできる

「くぅ～ッ！おめぇに一番に教えてやろうってすっ飛んで帰ってきたんだぞ！？」

わなわなと震えるスピードワゴンに、Aは小さくため息を吐いた

「だから、すこし落ち着きなさいな」

かちゃりとティーカップが用意され、スピードワゴンがそれに手を伸ばす
一口飲んで、スピードワゴンは真剣な表情でAを見詰めた

「さっきも言ったが、俺ァどうやら……」

──油田を堀り当てちまったらしい

冗談は顔だけにしてちょうだい。
呆れた様子でそう言ったAに、スピードワゴンは懇切丁寧に敬意を説明した

・